薬剤部

薬剤部で行っている「チーム医療活動」の業務内容についてご紹介します。
 各課の業務内容については、当院ホームページ「診療科・部のご案内→薬剤部」をご覧ください。

チーム医療活動

 医師・看護師・その他のスタッフとともにチーム医療の一員として多くの業務に携わっています。

  • がん化学療法(化学療法レジメン委員会)
     がん化学療法は、全て「化学療法レジメン委員会」に申請・承認されたプロトコル(手順書)に基づいて実施され、薬剤部ではガイドラインや文献等から、事前にそのプロトコルの安全性・妥当性を入念に検討しています。
    調製は、投与量、休薬期間、支持療法、生化学検査結果等を十分チェックした上で薬剤部で無菌的に調製を行ない、投与の際は薬剤師が予め患者さんに十分な説明を行なうことで、がん化学療法の必要性への理解や不安の解消に努め、また副作用に迅速に対応することで「安心・安全」ながん化学療法に貢献しています。
  • 化学療法チーム

     医師、看護師、薬剤師をはじめ多職種のスタッフより構成されています。がん化学療法を受けられる患者さんに対し、よりよい薬物療法を提供できるよう、副作用モニタリングツールの考案や医療スタッフへの情報提供、医療安全の構築も含めた抗がん剤の取り扱いの整備等、院内のがん化学療法に伴うリスクマネジメントに取り組んでいます。

  • 糖尿病ケアチーム
     慢性期の糖尿病療養支援の充実と糖尿病治療レベルの向上を目的に、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師などの多職種で活動しています。薬剤師も糖尿病教室の開催、糖尿病教育入院患者への薬学的支援、糖尿病患者会(火曜会)および月例カンファレンス(症例検討)への参加、糖尿病療養指導士の資格取得など積極的に行っています。

  • 糖尿病教室
     毎月第1・3木曜日のPM 2:00~3:00に主にC棟1階多目的室で開催しています。どなたでも自由に参加できます。患者さんやご家族さんが糖尿病とその治療薬に対して理解を深め、糖尿病治療に対して前向きになっていただけるよう取り組んでいます。
  • 緩和ケアチーム
     医師、看護師、薬剤師をはじめ多職種のスタッフより構成されています。がん患者さんやそのご家族に対し、身体やこころの痛みと向き合いQOLを改善することを目的に日夜奮闘しています。チーム担当薬剤師としてはオピオイドを含む鎮痛薬の適正使用や副作用管理、終末期の諸症状に対し薬学的見地から介入を行ないます。このように多職種が互いに職能を発揮することで医療の質と安全の向上に寄与しています。
  • ICT(感染)
     感染管理室に出向している薬剤師が中心となり、抗菌薬および消毒薬の適正使用と医療安全の向上に努めています。また、ミーティングや環境ラウンド等を通して他のスタッフと協働で院内の感染対策に取り組んでいます。
  • NST(栄養サポート)
     栄養管理は全ての治療法の基盤です。医師、看護師、薬剤師、栄養士その他のスタッフより構成され、薬剤師は主に静脈栄養(TPN・PPN)の処方提案や、医薬品と輸液や経腸栄養剤との相互作用等の確認を行っています。患者さんの栄養状態を評価し、適切な輸液・経腸栄養剤を検討し栄養状態の改善に取り組んでいます。
  • 褥瘡回診
     医師、看護師、薬剤師、栄養士からなるチームで、褥瘡(床ずれ)がある患者さんに対し、悪化防止・治癒促進を図ることを目的として、適切なマットレスの選択や身体の体位、褥瘡の原因、処置方法の見直しを行なっています。特に局所療法において重要な外用剤の選択や使用方法について薬学的見地から検討、提案を行なっています。
  • クリニカルパス委員会
     診療部門~事務部門までの多職種で構成される委員により、パス作成やバリアンス・アウトカム評価等、パスの運用にかかわる全体の管理を行なっています。
    病棟専任薬剤師は各診療科のクリニカルパスチーム員としてパス作成における情報提供や薬学的な側面からの評価、提案を行なっています。
  • 病棟薬剤業務
    (1) 入院患者に対する最適な薬物療法の実施による有効性・安全性の向上
    (2) 疾病の治癒・改善、精神的安定を含めた患者のQOL の向上
    (3) 医薬品の適正使用の推進による治療効果の向上と副作用の防止
    (4) 病棟における薬剤に関するインシデント・アクシデントの減少
    (5) 薬剤師の専門性を活かしたチーム医療の推進
    (日本病院薬剤師会、薬剤師の病棟業務の進め方 Ver.1.2より)
    を目的に全病棟に専任薬剤師を配置し、薬歴・服薬・投与状況の確認、処方内容の確認、患者状況の把握と処方提案、患者さんへの指導、副作用のモニタリング、退院時指導等を行なっています。
     また、当該病棟における麻薬や抗精神薬・ハイリスク薬を含む医薬品の適正な保管・管理や、医師・病棟スタッフへの医薬品に関する情報を提供しています。
     さらに、医師の回診、カンファレンスへの参加により、治療方針や患者状態等様々な情報を共有することによって、他職種との連携を強化し、より安心・安全な医療を患者さんに提供するためにチームの一員として、日々努力しています。
  • 薬剤師外来
     外来患者さんの薬物療法の質と安全の向上を推進することを目的に、日々介入を行っています。
     インスリン等の自己注射指導や各種デバイスを用いた吸入指導をはじめ、内服抗癌剤や医療用麻薬を使用されている患者さんに対して薬剤指導を行い、服薬管理の向上、副作用対策、処方確認、医師への支持療法の提案等を通して、医薬品の適正使用、医療安全とQOLの向上に尽力しています。
    また、薬に関する各種相談等も「お薬の相談室」と連携して行っています。
  • お薬サポートセンター
     お薬サポートセンターでは、業務の均一化と効率化を目的とし、入院前の術前中止薬スクリーニングと入院時の服薬状況等の確認や持参薬鑑別を行っており、薬学的管理と医療安全の推進に取り組んでいます。
     術前中止薬スクリーニングでは、予定手術の延期・中止を回避するために入院前に抗血小板薬、抗凝固薬等の有無を確認しています。該当薬剤がある場合は、医師に休薬指示を確認し、患者さんに説明することで休薬不足による手術延期の回避に貢献しています。
     また、入院時に直接患者さんに服薬状況等を確認し、持参薬鑑別を実施することにより、用法・用量や代替薬の情報提供、服薬計画の提案等を行い、チーム医療の担い手として多職種と連携・協働し、医療の安全・質の向上に寄与しています。
  • 配薬カート
     入院患者さんへの内服薬の配薬について、持参薬との重複、休薬や再開の指示が守られているか、処方もれや誤りがないか等をチェックするために配薬カートを導入し、病棟看護師と協働して医療安全の質の向上に努めています。
     配薬カートは、薬剤部配薬調剤室において薬剤師がセットを行っています。
  • 災害時用常備救護班
     日本赤十字社の災害救護活動は、赤十字本来の使命に根ざした重要な活動です。
    災害時に速やかに医療救護活動が行えるよう医師、看護師(こころのケア含む)、主事、薬剤師により常備救護班が編成されています。
     主な役割は、被災地での医薬品の供給管理体制の整備、衛生指導、自治体・薬剤師会等との連携、処方支援、調剤、服薬指導等ですが、メンタルモデルを共有し診療がつつがなく開始出来るよう合同訓練にも参加しています。また、災害時に常用薬が余儀なく変更される不安を、薬剤師が関わることにより服薬指導を介した“こころのケア”に繋がるよう心掛けています。
  • 院内災害対応推進チーム
     日本赤十字社の重要な事業として「国内災害救護」があり、当院では赤十字救護班とDMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)を編成しています。本チームは医師、看護師、事務、臨床放射線技師、薬剤師などの多職種で構成され、災害講習(トリアージ講習、災害シミュレーション講習など)や院内災害救護訓練の企画・運営を行い、非常事態に強い病院づくり・人材育成を推進しています。チーム員の大半は日本DMAT隊員であり、技能維持と新規隊員の養成に努めています。また、各種防災訓練や他機関(消防、警察、自衛隊など)との訓練にも参加し、不測の事態に備えています。災害現場において薬剤師は必要不可欠であり、災害医療に強い薬剤師をひとりでも多く増やすことが責務だと考えています。
  • 精神科リエゾンチーム
     せん妄や不眠、抑うつ症状のある患者さんやその他の精神症状を有する患者さんを、病棟で早期に発見し治療につなげることが目的です。医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師と共にカンファレンスを行い、病棟にてチーム回診を行っています。多職種で協働して、患者さんやその家族が安心して治療を受けられるよう活動しています。
  • 骨粗鬆症リエゾンチーム

     骨粗鬆症は骨脆弱により骨折をきたします。骨折は日常生活動作を困難にし、生活の質の低下や健康寿命の短縮、生命予後の悪化が懸念されます。
     本チームは医師、外来看護師、病棟看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、診療放射線技師、ケアマネージャー、地域連携事務員等により構成され、定期的なカンファレンスや新たなクリニカルパスの作成を行っています。さらに、多職種による骨粗鬆症リエゾン外来を開設しました。これらの中で薬剤師は、薬物療法に関する資料の作成、患者への指導や保険薬局との連携を担っています。多職種連携、地域連携を通し、骨粗鬆症治療率の向上や治療継続率の向上を目指しています。

  • 呼吸サポートチーム
     
    人工呼吸器装着中の患者に対して、安全な人工呼吸器管理および早期離脱に向けた適切な呼吸器設定や鎮痛鎮静の選択についてサポートしています。医師、看護師、臨床工学技士、薬剤師などの多職種で構成され、月に1回のカンファレンスと必要時に回診を行っており、人工呼吸器管理や酸素療法に関する学習会も定期的に開催しています。

     薬剤師は適切な鎮痛・鎮静薬の使用および適切なルート選択を支援しています。

  • 嚥下サポートチーム

     摂食・嚥下障害のある患者さんに対して、経口摂取回復や誤嚥性肺炎防止を目標に活動しています。耳鼻咽喉科医師と言語聴覚士を中心に、看護師、管理栄養士、薬剤師などの多職種で構成され、週1回のカンファレンスおよび病棟回診を実施しています。
     薬剤師は、嚥下機能に影響する薬剤を評価するとともに、嚥下機能に応じた適切な薬の投与経路や剤型について提案しています。