脳神経内科(神経内科)

診療方針

 脳神経内科では,脳・脊髄・末梢神経・筋肉の疾患の診療を行っています.その中でも,本院は昭和53年(1978年)に救命救急センターが開設されて以来,多くの神経救急患者,特に脳卒中患者が搬入(⇒症例数・治療実績)されるため,脳神経外科と協力して24時間365日受け入れる体制を整えています.脳神経内科は虚血性脳卒中を担当し,発症4.5時間以内のアルテプラーゼ静注療法(rt-PA静注療法)に代表される急性期治療と長期脳卒中再発予防に積極的に取り組んでいます.

 外来では,かかりつけ医との連携を推進しており,紹介外来制を原則としています(平成28年度地域医療支援病院紹介率68.7%).紹介患者の診断結果は紹介医に報告するとともに,連携医の先生方と共有すべき神経疾患については,釜座脳神経内科勉強会(年1回開催)で報告・ディスカッションしています.

急性期脳卒中診療体制

 年間約350例の急性期虚血性脳卒中(脳梗塞または一過性脳虚血発作)の治療を行い,京都府内でも随一の診療実績を有しています(⇒症例数・治療実績).発症4.5時間以内のアルテプラーゼ静注療法(rt-PA静注療法)は,2005年秋の認可以来300例以上に行い,約1/3が3ヶ月後に障害のない状態(modified Rankin Scale 0または1)に改善しました.また,近年有効性が示されつつあるカテーテルを用いた急性期再開通療法は,脳神経血管内治療専門医(脳神経内科1名と脳神経外科2名)が協同して行っています.

 ラクナ梗塞やbranch atheromatous disease(BAD)型梗塞などの穿通枝梗塞は,急性期に症状が動揺・増悪して重度の運動麻痺が残存することが少なくありませんが,急性期からの抗血小板療法の組み合わせによる強化抗血小板療法が有用である可能性があり(Yamamoto Y, Nagakane Y, et al. Int J Stroke, 9: E8, 2014.),最近ではアルガトロバン,抗血小板薬2剤,スタチンを併用するスタチン併用多剤抗血栓療法(MACS: Multiple Antithrombotic therapy Combined with Statin)を行っています.

慢性期脳卒中診療体制(脳卒中再発予防外来)

 急性期治療の進歩や,回復期リハビリテーションの充実により脳卒中患者の社会復帰率,在宅復帰率が向上してきていますが,虚血性脳卒中患者の脳卒中再発率は高く,発症後1年で8~10%,5年で18~34%と報告されています.一方,こうした脳卒中再発に対する予防法として,頸動脈内膜剥離術や頸動脈ステント留置術などの外科的治療とともに,危険因子の管理や抗血栓療法などの内科的治療の有効性を示すエビデンスが蓄積されつつあります.エビデンスに基づいた治療を複合的・長期的に行うことにより脳卒中再発は減少すると予想されます.

 急性期虚血性脳卒中で入院治療した患者は,退院までに再発予防方針を決定し,病状が落ち着いた時期に再びかかりつけ医へ紹介(かかりつけ医がいない場合は逆紹介)しますが,脳卒中再発予防外来でもフォローアップさせていただいております.ここでは脳卒中再発や無症候性脳梗塞・脳出血の確認と,危険因子や頭頸部血管病変の再評価を行い,再発予防方針の見直しを行っています.

症例数・治療実績

症例数・治療実績

  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
年間神経内科入院数 594 554 563 561 572
脳血管障害 400 375 426 420 437
  急性期脳梗塞 348 335 353 336 345
  その他 52 40 73 84 92
てんかん 30 29 27 30 31
脳炎、髄膜炎 16 14 19 16 17
末梢神経疾患 29 14 14 12 20
  免疫性(ギランバレー、CIDPなど) 11 10 7 9 6
  その他 17 4 7 3 14
脱髄性疾患(多発性硬化症など) 4 4 6 8 3
内科疾患に伴う神経疾患 17 10 6 3 10
神経変性疾患(パーキンソン病、脊髄小脳変性症) 35 47 19 12 19
運動ニューロン病 3 2 3 1 1
筋疾患 7 7 6 14 2
脊椎・脊髄疾患 17 11 7 8 4
腫瘍性疾患 5 7 1 0 4
その他(めまい症、一過性全健忘、正常圧水頭症など) 32 34 29 37 24

rt-PA静注療法施行件数
modified-Rankin-Scale_2016.

急性期虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作入院患者の治療実績(2014・2015年度)

発症7日以内の新規入院患者数 738例(平均75.0歳)
rt-PA静注療法施行件数 47例(6.4%)
血管内治療件数 31例(4.2%)
(うち13例はrt-PA静注療法併用)
入院時重症度(NIH Stroke Scale) 中央値3(四分位1-7,範囲0-37) 
入院期間 平均26.2日
退院先 自宅417例(56.6%)
転院291例(39.4%)
死亡22例(3.0%)
その他(施設など)8例(1.1%)
退院時modified Rankin Scale  中央値2(四分位1-4, 範囲0-6)
1年後modified Rankin Scale 中央値1(四分位0-4, 範囲0-6)
死亡率 入院中 3.0%
1年後 9.5%
脳卒中再発率  入院中 4.2% 
1年後 9.6%

 

日常生活自立度(modified Rankin Scale)
modified-Rankin-Scale3_2016
     *3ヶ月後データは全例,1年後データは追跡しえた727例を対象に算出

臨床研究

 現在,参加している主な多施設共同研究や治験は下記の通りです.その他,急性期虚血性脳卒中の中で,いわゆるbranch atheromatous disease(BAD)型梗塞における進行性運動麻痺については,多数例を通して病態解明の研究,各種治療の試行を行っており,我が国における代表的な成績を出し,国内・海外での学会発表や海外雑誌への論文投稿も精力的に行っています.

  • THAWS試験
    睡眠中発症や発症時刻が不明なためにrt-PA静注療法が適応できない患者から,頭部MRIを用いてrt-PA静注療法の適応となる患者を選出し,その有効性と安全性を確かめる多施設共同試験.
  • NAVIGATE ESUS試験
    塞栓源を特定できない塞栓性脳卒中発症後間もない患者を対象に,再発性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制におけるリバーロキサバンのアスピリンに対する有用性を検討する多施設共同試験.

  • RESPECT研究
    脳卒中既往患者を対象に,厳格降圧療法の二次予防効果を検討する多施設共同試験.
  • CSPS.com 研究

    非心原性脳梗塞を対象に,抗血小板薬の単剤療法と併用療法の脳梗塞再発抑制効果を安全性とともに比較検討する多施設共同試験.

  • BAT2研究

    抗血栓療法新時代における脳・心血管疾患患者への経口抗血栓薬の使用実態と安全性を解明する多施設共同観察研究.

  • KOACSレジストリ

    京都地域における経口抗凝固薬服用中の脳卒中患者の多施設共同登録研究.

  • ATIS-NVAF研究
    非弁膜症性心房細動とアテローム血栓症を合併する脳梗塞患者の脳卒中再発予防における最適な抗血栓療法を検討する多施設共同研究.

スタッフ 

 日本神経学会専門医,日本脳卒中学会専門医を含めて5名の常勤スタッフと1名の脳神経内科修練医の計6名の常勤医と2名の非常勤スタッフが入院・外来診療を担当しています.日本神経学会教育認定施設,日本脳卒中学会認定研修教育病院にそれぞれ認定されており,毎月1~3名の初期研修医が脳神経内科研修を選択し,常勤医とともに主に入院診療を担当しています.

職 名 名 前 卒業年度 専 門 資 格
部 長 Dr_nagakane201610永金 義成 H7 神経内科
脳卒中
日本内科学会内科認定医・指導医・総合内科専門医
日本神経学会神経内科専門医・指導医・代議員
日本脳卒中学会脳卒中専門医・評議員
京都府立医科大学臨床准教授・客員講師
医 長 山田 丈弘 H 16   日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本脳卒中学会脳卒中専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
医 長 田中 瑛次郎 H18 神経内科 日本内科学会内科認定医
日本神経学会神経内科専門医
日本脳卒中学会脳卒中専門医
医 師 小島 雄太 H23   日本内科学会認定内科医
日本神経学会神経内科専門医
医 師 中島 大輔 H24   日本内科学会認定内科医
医 師 北大路 隆正 H25   日本内科学会認定内科医