脳神経内科(神経内科)

診療方針

 脳神経内科では,脳・脊髄・末梢神経・筋肉の疾患の診療を行っています.代表的な疾患は,脳卒中(脳血管障害),パーキンソン病,認知症,頭痛,てんかんですが,本院の救命救急センターには数多くの脳卒中患者さんが搬入されるため,脳卒中の診療実績が多いことが特徴です(⇒症例数・治療実績).平成30年10月1日には新たに包括的脳卒中センターを開設し,救急救命病棟内に6床の脳卒中専用病床(脳卒中ケアユニット:SCU)を整備するととともに,脳神経外科と協力して夜間・休日も脳神経外科医または脳神経内科医が院内に常駐し,救急搬入される脳卒中患者さんを24時間365日受け入れる体制を整えています.

 脳神経内科は,脳卒中のうち主として脳梗塞と一過性脳虚血発作の治療を担当し,発症4.5時間以内のrt-PA静注療法(詰まった血栓を溶かす治療)に代表される急性期治療と長期脳卒中再発予防に積極的に取り組んでいます.カテーテルを用いた急性期再開通療法が必要な場合は,脳神経血管内治療学会専門医(脳神経内科1名と脳神経外科2名)が行います.rt-PA静注療法は,2005年秋の認可以来340例以上に行い,約1/3の患者さんが3ヶ月後に障害のない状態に回復しました.また,入院治療後も数日に渡って症状が動揺・増悪して重度の運動麻痺が残存しやすい穿通枝梗塞(ラクナ梗塞やbranch atheromatous disease(BAD)型梗塞)に対しては,後遺症を最小限にとどめるように,急性期から数種類の薬剤を組合わせた積極的な抗血栓療法を行っています.

 脳神経内科外来には,頭痛,もの忘れ,手足の脱力・しびれ・ふるえ,めまい・ふらつき,しゃべりにくい,飲み込みにくい,といった症状の患者さんが受診されます.診察所見とともに,血液・髄液検査,CT・MRI・脳血流シンチ・超音波検査などの画像検査,脳波・神経伝導検査・筋電図などの神経生理学的検査を総合して診断・治療しますが,必要に応じて入院精査・治療を行います.

脳卒中再発予防外来

 脳卒中を発症した人は,一度も脳卒中になったことのない人に比べて再び脳卒中を発症しやすく,発症後1年では10~12人に1人,5年では3~5人に1人が再発すると言われています.一方,こうした脳卒中再発に対する予防法も進歩してきています.それぞれの患者さんの病態に応じた治療を複合的・長期的に行うことにより脳卒中再発は減少すると考えられます.

 脳梗塞または一過性脳虚血発作で脳神経内科に入院した患者さんは,退院までに再発予防方針を決定し,病状が落ち着いた時期にかかりつけ医へ紹介(かかりつけ医がいない場合は逆紹介)します.その後もかかりつけ医と連携し,情報を共有しながら年1回の脳卒中再発予防外来で脳卒中再発の確認や危険因子の再評価を行い,再発予防方針の見直しを行っています.

症例数・治療実績

  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
年間神経内科入院数 594 554 563 561 572 630
脳血管障害 400 375 426 420 437 477
  急性期脳梗塞 348 335 353 336 345 351
  急性期脳出血 41
  その他 52 40 73 84 92 85
てんかん 30 29 27 30 31 33
脳炎、髄膜炎 16 14 19 16 17 15
末梢神経疾患 29 14 14 12 20 21
  免疫性
   (ギランバレー、CIDPなど)
11 10 7 9 6 6
  その他 17 4 7 3 14 15
脱髄性疾患
(多発性硬化症など)
4 4 6 8 3 10
内科疾患に伴う神経疾患 17 10 6 3 10 12
神経変性疾患
(パーキンソン病、脊髄小脳変性症)
35 47 19 12 19 12
運動ニューロン病 3 2 3 1 1 3
筋疾患 7 7 6 14 2 7
脊椎・脊髄疾患 17 11 7 8 4 3
腫瘍性疾患 5 7 1 0 4 1
その他
(めまい症、一過性全健忘、正常圧水頭症など)
32 34 29 37 24 36

rt-PA静注療法施行件数
modified-Rankin-Scale_2017

急性期虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作入院患者の治療実績(2014~2016年度)

  2014年度 2015年度 2016年度
発症7日以内の入院患者数
(同年の再発入院を除く)
371例 373例 391例
平均年齢 74.1歳 75.8歳 74.5歳
rt-PA静注療法施行件数 25例(6.7%) 22例(5.9%) 37例(9.5%)
血管内治療件数
(うちrt-PA静注療法併用)
11例(3.0%)
(6例)
20例(5.4%)
(7例)
21例(5.4%)
(11例)
入院時重症度*,中央値(四分位) 3(1-9) 3(1-6) 3(1-8)
平均在院日数 28日 24日 25日
日常生活自立**,退院時 63.9% 67.3% 59.3%
日常生活自立**,3ヶ月後 66.8% 68.6% 61.9%
日常生活自立**,1年後 62.5% 68.4% 59.6%
死亡率,入院中 3.5% 2.4% 5.4%
死亡率,3ヶ月後 4.3% 4.6% 7.2%
死亡率,1年後 10.2% 8.0% 13.3%
脳卒中再発率,入院中 4.3% 4.0% 4.1%
脳卒中再発率,3ヶ月後 7.3% 6.7% 6.4%
脳卒中再発率,1年後 9.7% 9.4% 9.7%

* 入院時重症度は,National Institutes of Health Stroke Scaleのスコア.
** 日常生活自立は,modified Rankin Scale 0,1,または2.

 

日常生活自立度
modified-Rankin-Scale2_2017

臨床研究

 現在,参加している主な多施設共同研究や治験は下記の通りです.その他,急性期虚血性脳卒中の中で,いわゆるbranch atheromatous disease(BAD)型梗塞における進行性運動麻痺については,多数例を通して病態解明の研究,各種治療の試行を行っており,我が国における代表的な成績を出し,国内・海外での学会発表や海外雑誌への論文投稿も精力的に行っています.

  • THAWS試験

     睡眠中発症や発症時刻が不明なためにrt-PA静注療法が適応できない患者から,頭部MRIを用いてrt-PA静注療法の適応となる患者を選出し,その有効性と安全性を確かめる多施設共同試験.

  • CSPS.com研究

     非心原性脳梗塞を対象に,抗血小板薬の単剤療法と併用療法の脳梗塞再発抑制効果を安全性とともに比較検討する多施設共同試験.

  • BAT2研究
     抗血栓療法新時代における脳・心血管疾患患者への経口抗血栓薬の使用実態と安全性を解明する多施設共同観察研究.
  • KOACSレジストリ

     京都地域における経口抗凝固薬服用中の脳卒中患者の多施設共同登録研究.

  • ATIS-NVAF研究
     非弁膜症性心房細動とアテローム血栓症を合併する脳梗塞患者の脳卒中再発予防における最適な抗血栓療法を検討する多施設共同研究.
  • ANAFIE Registry

     非弁膜症性心房細動を有する後期高齢患者における抗凝固療法の実態およびその予後を明らかにする多施設共同登録研究.

  • ELDERCARE-AF試験

     既存の経口抗凝固薬の投与が困難な80歳以上の非弁膜症性心房細動患者を対象に,少量の抗凝固薬投与時の有効性の検証と安全性の確認を目的とした多施設共同試験.

スタッフ

 日本神経学会専門医,日本脳卒中学会専門医を含めて6名の常勤スタッフと2名の非常勤スタッフが入院・外来診療を担当しています.日本神経学会教育認定施設,日本脳卒中学会認定研修教育病院にそれぞれ認定されており,毎月1~3名の初期研修医が脳神経内科研修を選択し,常勤スタッフとともに主に入院診療を担当しています.

職 名 名 前 専 門 資 格
部 長 Dr_nagakane201610永金 義成 神経内科
脳卒中
日本内科学会認定内科医・指導医・総合内科専門医
日本神経学会神経内科専門医・指導医・代議員
日本脳卒中学会脳卒中専門医・評議員
京都府立医科大学臨床准教授・客員講師
医 長 山田 丈弘 神経内科
血管内治療
日本内科学会認定内科医・指導医・総合内科専門医
日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本脳卒中学会脳卒中専門医
日本脳神経血管内治療学会専門医
医 長 田中 瑛次郎 神経内科
脳卒中
日本内科学会認定内科医
日本神経学会神経内科専門医
日本脳卒中学会脳卒中専門医
医 長 岸谷 融 神経内科 日本神経学会神経内科専門医
日本内科学会認定内科医
医 師 中島 大輔   日本内科学会認定内科医
日本神経学会神経内科専門医
医 師 北大路 隆正   日本内科学会認定内科医

外来当番表

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1診 田中 永金 山田 芦田(AMのみ) 中島
2診     脳卒中再発予防(PM) 脳卒中再発予防(1,3,5週PM) 脳卒中再発予防(PM)