心臓血管外科

対象となるおもな疾患 スタッフ 患者会 手術実績

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心臓血管外科について

 心臓血管外科は平成6年の開設以来、地域の皆様に支えられ、多くの外科治療を行ってきました。平成30年4月より新体制となり、常勤医師4名と京都府立医科大学心臓血管外科からの応援により診療にあたっています。循環器内科との綿密な連携により、心臓、血管疾患に対し総合的に診療いたします。外科治療が必要な場合には、患者様が安心、納得して治療をうけていただけるように十分説明した上で、豊富な知識と経験をもって一人一人の患者様に適した治療を提供いたします。また、緊急手術にも24時間、365日対応しています。

*当科は心臓血管外科専門医認定機構 基幹施設です。
*当科は京都府立医科大学 心臓血管外科学教室の関連施設です。

《当科の特徴》※大動脈センターの文字をクリックするとメニューが開きます

1.大動脈センター

当センターの特色・概要

近年の高齢化に伴い大動脈瘤、大動脈解離の罹患率が増加しています。このため当院では、心臓血管外科を中心に、2018年9月「大動脈センター」を開設し、大動脈疾患に対してより専門的に対応し、診断に必要な検査・評価から手術治療まで一貫して行える体制を整えました。

大動脈瘤をはじめとする大動脈疾患は全身の動脈硬化を伴う場合が多いため、生命予後改善のためには、手術後も動脈硬化促進因子の抑制など、専門的治療が欠かせません。当センターでは、手術のみにとどまらず、血管ドック、術後の動脈硬化進行予防など、総合的な大動脈疾患診療に取り組んでいきます。

特徴

1.大動脈疾患(大動脈瘤・大動脈解離)を専門に扱うセンターです
2.すべての大動脈疾患患者を常時24時間受け入れます
3.超高齢者や臓器合併症を持つハイリスク症例にも積極的に対応します
4.診断に必要な検査・評価から手術治療までを一貫して当センターで行います

対象となるおもな疾患

■ 急性大動脈解離
■ 胸部大動脈瘤(慢性解離を含む)
■ 胸腹部大動脈瘤(慢性解離を含む)
■ 腹部大動脈瘤
■ 大動脈基部疾患
■ 大動脈弁疾患

大動脈センターでは、すべての大動脈疾患を対象に手術を行います。手術は診断技術、術式、手術道具及び材料の発達により安全度が高くなってきています。ただし、どんな手術にも危険がまったくないというものはありません。まして、大動脈の手術ですから、手術前には病気、病状、手術の内容・危険性、及び術後の経過や遠隔期の治療法などの説明を十分にする必要があります。

現在、手術を受けたほとんどの方々は日常生活に戻り、職場復帰もしておられます。手術は救命だけではなく、生活の質(Quality of life ; QOL)の向上のためにも有効な治療法ですが、そのためには、時期を失することなく、手術を受けられることをお勧めします。

1.急性大動脈解離に対しては、常時緊急手術に対応しており、全ての診療依頼を受け入れています。
2.これまでは手術困難といわれていた超高齢者や臓器合併症を持たれている患者さまに対しても、手術方法、体外循環方法を適切に選択することでより積極的に手術を行っています。
3.腹部大動脈瘤手術では「皮膚切開10cm、手術時間3時間以内」の低侵襲手術が可能です。
4.胸腹部大動脈瘤手術では、当センターの特徴である出血量の少なさの為、合併症発生率が大幅に低下しております。
5.大動脈基部疾患に対しては、自己弁温存と人工弁使用を選択し、胸部大動脈瘤手術においては多くの手術実績のもと、定型的手術を確立しています。

治療について

急性大動脈解離(解離性大動脈瘤)

急性大動脈解離は未治療の場合、非常に死亡率の高い病気です。 激痛を伴い発症した患者さまは、しばしば循環不全や臓器の虚血(血流障害)に見舞われます。適切な手術治療が生命の危機を脱する唯一の手段です。 手術方法は、”胸部大動脈瘤の治療” でご説明する上行大動脈瘤、および弓部大動脈瘤とほぼ同じです。 ただし、血管が非常にもろいことが多く、高度な手術技術が必要です。術後は通常の大動脈瘤よりは、ゆっくりとしたリハビリプログラムを行い、社会復帰を可能にしています。

入院期間はおよそ2~3週間です。 退院後もある一定期間は、慎重な経過観察が必要です。

胸部大動脈瘤の治療

動脈瘤の手術は、動脈瘤を切除し、その部分を人工血管で置き換える方法で行います(人工血管置換手術といいます)。 胸部大動脈瘤は大きくわけて2つの種類があります。心臓に近い部分の胸部大動脈瘤(上行大動脈瘤/弓部大動脈瘤)と、背中の側にある心臓から遠い部分の胸部大動脈瘤(遠位弓部大動脈瘤/下行大動脈瘤)です。

上行大動脈瘤と弓部大動脈瘤は胸の正中部を切開し、人工心肺という器械を装着後、心臓を止めて手術を行います。 この部位の動脈瘤は脳に行く血管の入り口に近いため、この手術で問題となるのは手術中の脳の保護方法です。私たちは、体温を下げて脳に血液を循環させる安全な方法で手術を行っており、現在、脳障害は大幅に減少しました。この種類の動脈瘤手術時間は、およそ5~6時間で、入院期間はおよそ2~3週間です。

※手術時間、入院期間は通常の場合であり、これより長くなる場合もあります

遠位弓部大動脈瘤や下行大動脈瘤の手術は、脇の下の肋間(肋骨と肋骨の間)から行います。 この手術にも人工心肺は使用しますが、心臓を動かしたままで手術を行います。手術時間は通常3~5時間程で、入院期間は2~3週間です。

※手術時間、入院期間は通常の場合であり、これより長くなる場合もあります。

  

胸腹部大動脈瘤の治療

胸腹部大動脈瘤とは、胸部から腹部にかけての広範囲に動脈瘤ができている病気です。 胸腹部大動脈瘤に対する手術は、大動脈手術の中でも最も困難な手術の一つと言われていました。しかし、私どもの施設では、この胸腹部大動脈瘤に対しても積極的な手術治療を行っています。

手術は左側方から腹部に達する切開で行います。 体外循環は動脈瘤の部分の血流を迂回させるバイパス回路を使用します。動脈瘤を全長に渡り切除し、全てを人工血管で置き換えます。手術では、下行大動脈から分かれる肋間動脈(脊髄に血液を供給する動脈)、腹部大動脈から分かれる腹腔動脈、上腸間膜動脈、左右腎動脈などの重要分枝血管を再建します。

この手術で問題となるのが手術中の脊髄保護です。 この、脊髄保護が不十分な場合、術後に対麻痺という下半身の神経障害を起こします。私どもの施設では、侵襲、出血の少ない手術方法と、脳脊髄液ドレナージ(背中から脊髄に細いチューブを挿入し、脊髄の血流を改善させる方法)や、脊髄保護剤などの複数の脊髄保護法を組み合わる事で、現在、脊髄神経障害の発生を抑えています。この手術では多くの場合輸血が必要です。手術時間は通常6~8時間で、入院期間は2~3週間です。

※手術時間、入院期間は通常の場合であり、これより長くなる場合もあります。

   

腹部大動脈瘤の治療

腹部大動脈瘤は、およそ臍(へそ)の高さの腹部大動脈に発生します。 直径が45cm以上のものが手術の対象となります。

余病(合併症)の有無や年齢は手術適応(手術をするか否か)には原則的に関係しません。 90歳の方でも手術を受けることができます。

腹部の皮膚を10cmほど切開し手術を行います。 動脈瘤のあった所に人工血管を移植します。手術時間は2時間から3時間程で、ほとんどの場合、輸血の必要はありません。

手術の翌日から食事が始まり、歩行も自由にできます。 通常は約1週間で退院となります。

   

大動脈基部疾患

大動脈弁輪拡張症、基部異常

大動脈基部とは、大動脈弁とその周辺の大動脈を指します。大動脈弁の周りが拡張してしまう大動脈弁輪拡張症に対しては、人工血管のみを使用し、大動脈弁を修復して拡張を改善させる手術や、人工血管と人工弁を併用した手術などを行います。70歳以下の若年の元気な方には、積極的に大動脈弁を温存して修復する手術を行っております。また、すでに人工弁の手術を受けられていて、人工弁周囲に異常を認める方、大動脈弁から大動脈に異常を認める方などに対しても、大動脈基部の手術を行います。特に、マルファン症候群の方に対しては、この手術が必要となります。


大動脈弁温存基部置換術 術中写真

ステントグラフトによる治療

はじめに

2005年より企業製の大動脈瘤治療用のステントグラフトが保険適応となり国内でも使用可能となりました。ステントグラフトはステントと呼ばれる金属のバネの部分とそれを被覆するグラフトと呼ばれる人工血管の部分からできています。胸や腹を切開することなく、足の付け根の動脈からカテーテルを使用し、このバネ付き人工血管を大動脈瘤の部分に留置します。大動脈瘤はそのままですが、瘤の部分には血圧が直接かからなくなりますので、破裂の危険がなくなります。通常の手術に比べ体の負担が少ないのが特徴です。


ステントグラフト

専門医により適切な診断と治療をおこないます

すべての大動脈瘤がステントグラフトで治療できるわけではありません。また、ステントグラフトはすべての点で手術よりも優れているわけではありません。大動脈瘤の治療を行っている施設の中には、ステントグラフトの治療だけを行い、手術治療をほとんど行っていない施設があります。治療方針がステントグラフトに偏ってしまうと、手術の方が良い場合にもステントグラフトを施行され、最悪の場合には、再手術が必要になり、その手術は初回以上に困難な手術となってしまうこともあり、ステントグラフト治療と手術治療の両方をバランスよく行っている施設で、適切な診断、治療を受けることが大切です。

京都第二日赤大動脈センターでは専門の心臓血管外科医、循環器内科医があらゆる角度からステントグラフトの可能性を検討し、治療方針を決定しています。


ステントグラフトによる胸部・腹部大動脈瘤治療イメージ

ステントグラフト治療の選択には専門的な知識と判断が必要です

ステントグラフト治療には解剖学的適応と言われる適応条件があります。当センターでは一人一人の患者さまの状態を詳細に検討し、その患者さまにとって最良なステントグラフト治療(オーダーメイドステント、手術との併用など)を行っています。このため他の病院でステントグラフトが困難、あるいは不可能であるといわれた患者さまに対しても適切な対応が可能となっています。 腹部大動脈瘤の前向き比較試験で、術後4年間での動脈瘤関連死は外科手術よりもステントグラフト治療の方が有意に低いことが証明されています(Lancet 365:2179,2005)。10年前と比べると最近のステントグラフトでは改良され、治療成績も格段に向上しています。ただし、この治療の歴史は10数年程度であり長期の成績は不明です。


ステントグラフトによる治療イメージ

ステントグラフト治療の長所を活かすことが大切です

大動脈瘤の形や場所によっては、ステントグラフト治療のほうが手術治療よりも良い場合もあれば、逆の場合もあります。京都第二日赤大動脈センターの治療方針としては、患者さまの全身状態を正確に評価し、手術治療がよいのか、ステントグラフト治療がよいのかを専門の医師が判断しています。他の病院でステントグラフト治療が困難と診断された場合にも、専門外来で患者さまの相談に応じております。


(左) 初CT:治療直後最大径5cm
(右) 半年後CT:最大径4cmに縮小

検査

最新の画像診断装置によって、短時間で正確な診断ができるようになりました。とくにthin slice 造影CTが重要です。

    1. 胸部X線
    2. 簡単に胸部大動脈の拡大がわかるとともに、肺や心臓のチェックもできます。

    3. 超音波エコー
    4. 胸壁から超音波を当てる検査と、食道の中から胸に超音波を当てる検査を組み合わせれば、胸部大動脈瘤はほとんど診断できます。 このほか、大動脈弁閉鎖不全や心嚢液がたまっているかどうか、心機能はどうかなども同時に検査することができますし、大動脈解離の場所や状態も診断できます。腹部に超音波をあてる検査では、腹部大動脈の“こぶ”や解離の診断が可能です。

    5. CT
    6. エコー同様、重要な検査です。CTの利点は、安全で、しかも迅速な診断ができ、患者さまに負担がかからないこと、しかも普及した装置なので多くの病院で診断ができる点にあります。この検査で大動脈瘤の大きさ、範囲、周囲の臓器の状態、さらに解離があれば、その形態や範囲など多くの情報が得られるのが特長です。最近では3次元の画像が得られるようになって、“こぶ”の状態がいっそう把握しやすくなっています。

    7. 血管造影
    8. エコーとCT検査の登場で血管造影の占める役割は変化しているものの、依然、重要な検査であることに変わりはありません。しかし、血管造影は、患者さまに身体的負担が大きいので、急を要する場合には省略することが多くあります。

    9. 磁気共鳴映像法(MRI)
    10. 磁気を使って画像を得る検査です。特長は、どの方向からも画像が撮影できる、エックス線被ばくがない、より鮮明な画像が得られることです。 ただし、強力な磁場が必要なので、ペースメーカーや人工呼吸器を使っている患者さまでは検査ができませんし、検査に時間がかかりすぎる制約もあり、大動脈瘤の診断に必須ではなく、補助的な検査といえます。

基本的にはエコー、CTが必須で、その他の検査を組み合わせるのが一般的です。

医療機関のみなさまへ

動脈瘤治療の唯一の目的は、動脈瘤の破裂に伴う重篤な合併症、あるいは死亡という事態を回避することであると考えております。 このためには、専門医による適切な診断・治療が不可欠です。

①手術適応

胸部紡錘状動脈瘤に関しては最大径5060mm以上、嚢状動脈瘤に関しては発見された時点を手術適応としています。 腹部大動脈瘤に関しては最大径4050mm以上を手術適応としています。 動脈解離では、急性Stanford A型解離に関しては、血栓閉塞の有無にかかわらず緊急手術としています。 また、急性Stanford B型解離に関しても、大動脈センターでの保存的治療や積極的なステントグラフト治療(entry閉鎖)を行っております。 手術適応外となる因子は、

Ⅰ.高度意識障害
Ⅱ.余命2年以内の担癌状態
Ⅲ.術後も日常生活が期待できない程度のADL
としています。

②年齢・合併症について

年齢に関しては手術を制限する因子とは考えず、日常生活に問題ない方に対しては、ご家族ご本人のご希望により、年齢の如何にかかわらず手術を行っています。 脳梗塞、心機能障害、呼吸器合併症、腎機能障害等、また膠原病等の全身性疾患の合併についても、障害の程度を検討し、適切な治療方法を選択しています。

③最近の傾向

紹介患者様の増加に伴い、いままでhigh riskと考えられていた患者さまが増加しています。 重度の合併症を持たれている方、超高齢者、再手術あるいは再々手術例、ステント留置後の動脈瘤拡大例、切迫破裂や破裂例などです。 この傾向は、今までは手術不可能と判断されていた患者さまが、手術可能であるとの再認識をされた結果と考えています。

④手術時間・入院期間の目安

  手術時間(時間) 入院期間(日)
基部置換 5-7時間 14-21日
上行置換 3-4時間 14日
弓部置換 5-6時間 14-21日
下行置換 3-5時間 14日
胸腹部置換 6-8時間 14-21日
腹部置換 2-3時間 7日

⑤ご紹介いただく場合

胸部レントゲン上、大動脈疾患(大動脈瘤・大動脈解離)が疑われた時点でも結構ですので、ご紹介いただければ、必要な検査を当センターで行った上で、確定診断、治療方針等をお返事させていただきます。 ご紹介にあたっては「地域医療連携室」までご連絡ください。外来診察日をご相談のうえ決定いたします。

患者さまご本人が来院される場合は、外来で術前検査、手術説明を行います。 事情により、ご本人またはご家族が来院できない場合には、CT画像を当院まで郵送いただければ確定診断、治療方針等を報告させていただきます。

2.低浸襲心臓手術

対象となるおもな疾患

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虚血性心疾患:心筋梗塞、狭心症など

虚血性心疾患

心臓は心筋という筋肉を利用して体に血液を送る役割をしています。この心筋を動かすためには、自身が送り出した血液に含まれる酸素や栄養分などのエネルギーを利用しています。これらエネルギーを運ぶための血管が冠動脈です。心臓に頭から冠(かんむり)をかぶせたように配置されているためこのように呼ばれています。この冠動脈が動脈硬化などの理由で細くなる、詰まってしまうなど、心筋に十分なエネルギーを含む血液を供給できなくなってしまった状態のことを虚血性心疾患と呼び、これは狭心症や心筋梗塞という状態に大きく分けられます。

狭心症の状態と症状

冠動脈の径が細くなり血液の流れが悪くなった状態で、症状の程度は様々です。運動時に胸痛を感じる場合から早朝や夜間に、または運動もしていないときに症状が出ることがあります。また心窩部痛、歯や肩の痛みなど感じる痛みが胸痛以外に出ることもあります。

心筋梗塞の状態と症状

冠動脈が完全に詰まってしまった状態です。どの部位が詰まってしまうかによって状態も様々ですが詰まった部位の先には血流がなくなるため、エネルギーの供給を失った心筋は刻一刻と壊死を始め、非常に危険な状態となります。このままでは急性心不全・重篤な不整脈・心筋の破裂などの合併症を引き起こすため速やかな治療を行わなければなりません。激しい胸痛が長時間持続する症状が一般的ですが、中には症状を伴わない場合もあります。

検査

虚血性心疾患を疑って検査をする場合など時間的余裕がある場合には心臓CT検査で状態を判断する方法があります。石灰化などで判別が難しいことが予想される場合や、時間的余裕がない場合には冠動脈造影検査を行います。これはチームとして循環器内科の先生方に連携していただく検査となります。

治療

治療の方法は大きく分けて3つあります。薬物療法・経皮的冠動脈インターベンション・冠動脈バイパス術(CABG)です。循環器学会のガイドラインにより状態に合わせて最適な治療法が推奨されていますが、心臓血管外科で担当する分野は冠動脈バイパス術(CABG)です。冠動脈バイパス術とは、冠動脈の細くなった部分や詰まってしまった部分より下流の部位に別な血管(バイパスグラフト)を縫合することで新たな道を作り、不足している血流を改善させる方法です。バイパスグラフトの種類としては胸の内側にある内胸動脈や、腕の橈骨動脈、下肢の大伏在静脈や胃の周囲にある右胃大網動脈などを使用します。冠動脈バイパス術では人工心肺装置を使用して心臓を止めて行う手術方法(心停止下冠動脈バイパス術)と、心臓を動かしたまま行う手術方法(心拍動下冠動脈バイパス術)がありますが、どちらにもメリットとデメリットがあるため、術前検査や患者様の状態に合わせ、どちらの方法がより患者様に適しているかを総合判断で手術方法を決定します。

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弁膜症

弁膜症

心臓は4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)を持っています。体から返ってくる血液は右心房から右心室へと流れ、肺を通った後に左心房から左心室へと流れ、再び全身に送り出されます。この血液の循環を保ち逆流を予防するためにそれぞれの部屋の出口に弁が存在します。右心房、右心室、左心房、左心室の出口の弁の名前はそれぞれ三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁といいます。これらの弁が様々な原因で動かなくなったり(狭窄症)、逆流を生じてしまったりした状態(閉鎖不全症)を心臓弁膜症と呼んでいます。

症状

急性疾患の特別な場合を除いて、心臓弁膜症が生じても大部分の場合は徐々に病態が進行し、その進行具合によって心臓や体が元の状態を保とうとしますので、すぐには症状として現れません。これを代償機構と呼び、この限界を超えた場合に明らかな症状としてあらわれます。これは心不全の症状と同じで、肺に水が溜まることによる咳や呼吸苦、全身に水が溜まることによる下肢のむくみなどがあります。しかしこのような状態の前にも、階段や坂の上り下りが辛くなったなどの気づきにくい症状もあり、明らかな症状が出たと時にはかなり病態が深刻になっている場合もあるので注意が必要です。早期に手術を行った場合、通常と変わらない生命予後が期待できるものであり、時期を逸しない時期の手術を強くお勧めしています。

検査

心臓超音波検査が必須となります。当院では最新式の心臓超音波検査機器をそろえ、専門医師と専門技師が日々検査にあたっておりますので、心臓の詳細な状態を検査することができます。

治療

心臓弁膜症の治療は大きく2つに分けられます。

ご自身の弁を人工の弁に取り換える手術 : 弁置換術
ご自身の弁を修復する手術       : 弁形成術

僧帽弁は僧帽弁閉鎖不全症の病態が多く、出来るだけご自身の弁を修復して利用する僧帽弁形成術を行うよう積極的に取り組んでいます。僧帽弁狭窄症は近年日本では減ってはいますが、この病態では人工弁への弁置換術を行っています。
大動脈弁は近年の高齢化社会に伴い、大動脈弁狭窄症が増加しており、この病態には人工弁への弁置換術を行っています。
また従来、大動脈弁閉鎖不全症にも弁置換術が行われており現在も主流ではありますが、ご自身の弁が形成に適しておられ、ワーファリン不要のメリットが大きいと判断される患者様においては、ご自身の弁を利用した弁形成術も積極的に採用しております。近年この分野は大動脈弁分野での注目される手術となってきています。

ワーファリン(抗凝固薬)について

人工弁には大きく分けて生体弁と機械弁があります。生体弁には術後ワーファリンを使用する期間が2-3カ月と限定的であるというメリットがありますが、耐用年数が10年から15年というデメリットもあります。機械弁は耐用年数が永久であるというメリットの反面、生涯ワーファリンを内服しなければならないというデメリットがあります。

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大動脈疾患:大動脈瘤、大動脈解離など

大動脈疾患

動脈瘤とは、大動脈がこぶの様にふくれる病気のことをいいます。 動脈瘤は、動脈壁(血管の壁)の弱くなっている部分に発生し、血流によって圧力を加えられると外側に向けてふくらみます。動脈瘤を治療しないで放置すると、破裂し死に至る危険性があります。どの場所にも出来る可能性があり、できた場所によって、胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、腹部大動脈瘤などといいます。

症状

大動脈瘤の大半は無症状で、何の症状もなく大きくなります。動脈瘤が大きくなり、周囲の組織が圧迫されるようになって初めて症状が現れますが、症状が出現する頃には動脈瘤はかなり大きくなっている事が多く、無症状のまま破裂や解離する事もあります。破裂する時になって初めて症状がでます。激烈な痛みがあり、動脈瘤の場所によって胸部痛、背部痛、腰痛などとなります。

検査

基本的にCT検査となります。

治療

基本的に人工血管置換術とステントグラフト治療(血管内治療)があります。 人工血管置換術は、動脈瘤を取り除いて、人工血管に置き換える手術となります。動脈瘤の場所によって、胸部大動脈人工血管置換術、胸腹部大動脈人工血管置換術、腹部大動脈人工血管置換術などとなります。人工血管置換術は開胸や開腹を伴い、患者様の負担は伴うものの、動脈瘤を取り除くので確実性が高いと言えます。
ステントグラフト治療は、動脈瘤はそのままの状態で、血管の内側から針金入りの人工血管で蓋をする治療です。鼠径部の小切開のみで行うことができ、低侵襲が特徴です。ただ動脈瘤はそのままの状態であり、再治療を要することが約5%あります。年齢や状態、どんな病気をお持ちかによって、患者様一人一人に最適な治療を選択しております。

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末梢血管疾患:閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤など

閉塞性動脈硬化症

動脈硬化とは血管の壁が肥厚し、内腔が徐々に狭くなって(狭窄)、最後にはつまってしまう(閉塞)病態です。

症状

血流が悪くなることにより種々の症状が起こります。通常、足が冷たく感じる・しびれを感じるくらいからはじまり、だんだん歩くと足が痛くなったり、あるいは安静にしているときでも痛みを生じるようになってきます。そうなると足の趾やかかとなどが黒く壊死したり、潰瘍ができるといった症状があります。恐ろしいのは、糖尿病などの基礎疾患があると、症状がなくとも動脈の狭窄は徐々に進行することがあることです。足に壊死や潰瘍があると、細菌感染を併発しやすく、ひとたび感染が起こると、血流が悪くなり、より中枢側での切断が必要となったり、体に感染が波及して、全身状態が悪くなる(敗血症)ことがあります。

治療

当院では循環器内科、心臓血管外科のチーム医療で重症虚血肢の治療にあたり、良好な成績をおさめています。膝下の小口径動脈へのバイパスや、経カテーテル的な狭窄拡張術を組み合わせたハイブリッド治療も積極的におこなっています。

下肢静脈瘤

下肢静脈瘤とは足の血管がふくれてこぶの様になる病気です。足の静脈の役割は、心臓から足に送られ使い終わった汚れた血液を心臓に戻すことです。重力に逆らって足から心臓に血液を送らないといけないので、静脈の中には弁があり、立っている時に血液が足の方に戻ってしまう(逆流)のを防いでいます。下肢静脈瘤は、この静脈の弁が壊れることによっておこる静脈独特の病気です。弁が壊れる原因には遺伝や妊娠・出産、長時間の立ち仕事などがあります。

症状

下肢静脈瘤のおもな症状はふくらはぎのだるさや痛み、足のむくみなどです。これらは1日中おこるのではなく、長時間立っていた後や、昼から夕方にかけておこります。夜、寝ているときにおこる“こむら返り(足のつり)”も下肢静脈瘤の症状です。また、皮膚の循環が悪くなるため、湿疹や色素沈着などの皮膚炎をおこす事があります。皮膚炎が悪化すると潰瘍ができたり、出血することがあります。

治療法

下肢静脈瘤の治療法には弾性ストッキングを使う圧迫療法や手術療法があります。手術には、静脈を引き抜くストリッピング手術と、高周波で静脈を焼く血管内焼灼術の2つがあります。以前から行われているストリッピング手術は、太ももの悪くなった静脈を手術で取り除きますが、高周波治療は中から静脈をふさいで血を流れなくしてしまいます。“低侵襲治療”と呼ばれる体に優しい治療です。従来のストリッピング手術では足のつけ根と膝の2ヶ所を切開しなければならないのに対し、高周波治療では膝の内側に細い針を刺すだけで治療することができます。また、太ももの血管を引き抜かず、その場所で焼いて塞いでしまうので、出血や手術の後の痛みが少なくなります。

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成人先天性心疾患

成人先天性心疾患への取り組み

心臓血管手術の急速な進歩に伴い、幼少期に心臓の手術を受けられた患者さんが続々と成人期に達せられ、その患者さんを誰が診るのか、また次の段階の手術が必要になった際、誰が手術をするのかが、世界中で問題となってきております。これまで私共は成人先天性心疾患の治療に取り組んで参りました。京滋地区における成人先天性心疾患の医療を当院で推進し中心的役割を担うべく努力してまいります。

「成人先天性心疾患外来」開設のお知らせ(2016年2月)

スタッフ

職 名 名 前 卒 年 専 門 資 格
部長 docter_hiramatu
平松 健司

S59

心臓血管外科

成人先天性
心疾患

三学会構成心臓血管外科専門医認定機構
心臓血管外科専門医・修練指導医
日本外科学会外科専門医・指導医・認定医
日本胸部外科学会指導医・認定医
日本小児循環器学会評議員
関西胸部外科学会評議員
米国胸部外科学会(STS)会員
欧州胸部外科学会(EACTS)会員
アジア心臓血管外科学会会員
医学博士
日本医師会認定産業医

副部長 goto Dr
後藤 智行
H12  

日本外科学会認定医・外科専門医・指導医
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医・修練指導者
関連10学会構成日本ステントグラフト実施基準管理委員会
腹部ステントグラフト実施医・指導医・
胸部ステントグラフト実施医・指導医
日本心臓血管外科学会国際会員
日本胸部外科学会正会員

 私はH12年に京都府立医科大学を卒業後、京都府立医科大学、国立循環器病センター、福井循環器病院、マレーシア国立心臓センターで研鑽を積んだ後、京都岡本記念病院(旧第二岡本総合病院)で部長として手術やチームをマネージメントしていました。H30年4月より京都第二赤十字病院に赴任し、心臓・大動脈手術全般を担当しております。特に大動脈手術、弁形成術を得意としております。
医 長 小林 卓馬 H20   日本外科学会外科専門医
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構心臓血管外科専門医
関連10学会構成日本ステントグラフト実施基準管理委員会
腹部ステントグラフト実施医・指導医・胸部ステントグラフト実施医
下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会
下肢静脈瘤に対する血管内焼灼術の実施基準による実施医
医 師 夫 悠 H26    

患者会

◆『かまんざ心臓病予防と対策友の会』のご案内

 三大成人病の一つであります心臓病の数は年々増加しており、当院においても心臓手術、経皮的冠動脈形成術など急性期医療を受けられる患者さんが増えているところですが、患者さんは疾患の性格上、生涯をかけて日常生活に留意しつつ、外来診療を受けなければならず、その精神的重圧はきわめて大きいものだと考えられます。このような点から当院通院患者さんより、患者の会のようなものを作り、同じ病気をもつもの同士で親睦を図り、励まし合いながら、医療従事者の協力を得つつ、病気の再発を予防していきたいとのご意見が少なからずあり、『かまんざ心臓病予防と対策友の会』を結成しました。 第1回開催は、平成12年10月7日京都全日空ホテルにて特別講演として、女優の仁科亜季子さんをお呼びし、以後定期的に特別講演、懇親会を開催しており、今後も本会を発展させていきたいと考えておりますので、皆様方のご参加をお待ちしております。 なお、詳細につきましては、当院医療社会事業部にお問い合わせください。

心臓血管外科手術症例(2018年4月~12月)

全 症 例 169例
胸 部 ( 開 心 術 ) 99例

 

 

 

 

 

 

 

 

胸部(開心術)

虚血

冠動脈バイパス術 12例
心室中隔穿孔 1例

 

 

弁膜症

大動脈弁置換術±不整脈手術etc 17例
MICS-AVR (右腋窩小切開大動脈弁置換術) 1例
大動脈弁置換術+冠動脈バイパス術 5例
僧帽弁形成術 3例
僧帽弁置換術 6例
その他 1例

 

 

 

 

大血管

 

大動脈基部置換 4例
 Bentall手術(大動脈弁置換) 2例
 Bentall手術(大動脈弁置換)+全弓部置換 1例
 Remodeling手術(大動脈弁形成) 1例
上行置換±弁膜症手術etc 19例
弓部置換±弁膜症手術etc 9例
下行置換 0例
広範囲胸部置換(上行~弓部~下行) 1例
      ALPS 1例
胸腹部置換 1例
胸部ステントグラフト(TEVAR) 14例

 

 

腹部・末梢血管

腹部瘤置換 22例
腹部ステントグラフト(EVAR) 19例
末梢血管手術 11例
静脈瘤手術    stripping 2例
        ラジオ波焼灼術 3例
シャント造設術 13例

H31.1.21日 現在

外来当番表

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日
1診 AM  

小林(血管外来)
/ 後藤(心臓外来)

 
 
平松 後藤 
PM   平松
(成人先天性心疾患外来)