気胸センター

 2022年10月より患者さんの病態に応じた担当医が診療を行い、最適かつ質の高い治療を提供することを目的に気胸センターを開設いたしました。
 当センターには「呼吸器外科・呼吸器内科・救急科」の3科の医師が所属しており、院内で密接に連携を図りながら診断・治療を行ってまいります。

kikyo_006 【気胸】
 気胸とは、本来空気の存在しない胸腔内に何らかの理由で空気が漏洩・貯留し、肺が虚脱した状態のことを言います。
 気胸は、10歳代から80歳以上までどの年齢にも発症しますが、一般的には10〜20歳代の原発性(特発性)気胸と50〜60歳代の続発性気胸の2峰性を示します。発症に左右差はないものの両側気胸は12〜20%に発症し、うち致死的にもなり得る両側同時性気胸は2〜5%に発症すると言われています。

診断

 気胸の診断には、胸部レントゲンや胸部CT撮影を行います。突発する胸痛(時に背部痛)・呼吸苦・咳嗽を主訴に来院された場合、問診と胸部身体所見を行い前述の画像診断で確定診断と治療方針を決定します。
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治療

 気胸の治療には、外来通院で診られるものから入院を要するものまで様々な病態があります。そのため、当院気胸センターには呼吸器内科・呼吸器外科・救急科の3科の医師が所属しており、それぞれの病態に応じた担当医が気胸の診療を行います。軽度虚脱の場合は安静のみで外来通院による経過観察となります。虚脱が中等度以上(虚脱率20%以上)の場合は、胸腔ドレナージという処置が必要で入院となります。胸腔ドレナージを行っても治らない場合や両側症例、再発症例は手術療法の適応になります。

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右胸腔ドレナージ

手術療法

 気胸の手術療法として、ほぼ全例において胸腔鏡下手術を行います。肺気腫で癒着が強い場合などには一部小開胸創を設けることがありますが、通常は1.5cm程度の傷が1〜3個のみで手術可能です。気胸の原因となるブラを切り取ったり結紮したり焼灼して処理します。胸腔鏡下手術は傷が小さく痛みも少ないのでいいのですが、再発率は開胸手術よりも高く10〜20%との報告があります。不十分な視野によるブラの見落としや切除ライン近傍のブラ新生がその原因と言われています。当院では、再発予防目的にポリグリコール酸シート(ネオベールシート)や酸化セルロースシート(サージセルシート)で肺表面を覆うことで再発率を下げる工夫をしています。気胸術後の入院期間は2〜3日となっています。傷の痛みさえ我慢できる様であれば、退院直後よりデスクワークや学校への通学は可能になるため、早期の社会復帰が見込めます。また、併存疾患や全身状態不良のために全身麻酔がかけられず手術加療が難しい患者さんには、胸腔内に薬剤を注入する癒着療法やシリコン製の気管支充填剤を気管支鏡下に塞栓する気管支塞栓術を選択することも可能です。

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気胸に対するUniportal VATS(単孔式胸腔鏡下手術)の手術風景と創部

医療機関の皆様へ

 当センターでは、呼吸器外科・呼吸器内科・救急科が協力してそれぞれの患者さんに最適と思われる治療方法を提供させていただきます。疾患の特性上、緊急入院となり手術も準緊急手術となるため手術までの待機時間を極力短縮できるようにし、早期退院ができるよう努力しております。    対象の患者さんがおられましたら当院の「地域医療連携・入退院支援課」または、「救急救命センター」までご連絡いただければ迅速に対応させていただきます。    患者さんの不安を一日でも早く取り除き、早期の社会復帰をめざして⽇々努⼒してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

<気胸センター連絡先・対応時間>  ※医療機関専用ダイヤル

○ 地域医療連携・入退院支援課(直通) 075-212-6186

平日:8:30~19:30 / 土曜:9:00~13:00

○ 救急救命センター(直通) 075-212-6119

上記記載時間外 / 日曜・祝日:24時間対応