救命救急センター

救命救急センターの特徴

 当センターは京都第二赤十字病院の併設型救命救急センターであり、心筋梗塞・脳卒中・ショック・多 発外傷・急性腹症など重篤疾患の診療を行っています。救急車での搬入はもちろん、京都府下の病院からの転送も多く、救急専任医が中心となって、各科の専門医と共同で治療に当たっています。また、休日・夜間はWalk inでの救急患者も数多く受け入れており、京都市における救急医療の中心的役割を果たしています。

沿 革

  当センターは、昭和53年に京都で最初に開設された救命救急センターであり、全国的にみても古い歴史を有しています。開設後は地域住民はもとより、京都府下において信頼の深い救急医療を提供してきました。また、平成16年8月には新棟へ移転し、機能的にも大幅に改善いたしました。現在では、救急車での搬入 数が年間で7,500件を超え、受診患者総数も年間で27,000人を超えており、京都市における救急医療の中心的な役割を果たしております。

設 備

 1階はショックルームを含む初療室4ベッドと個室の診察室4室を中心とした外来部門があり、レントゲン、CT、アンギオ室も隣接しています。4階には ICU,CCUを合わせた10床の集中治療室と30床の救命病棟を設け、3階には10室からなる中央手術室があります。1階の外来部門、3階の手術室、4 階の集中治療室には専用エレベーターがあり、重篤患者に対して迅速かつ負担を最小限に抑えた搬送が可能となっています。

 

実 績

 当センターは、脳血管障害、重症心疾患、多臓器不全、広範囲熱傷、急性薬物中毒、交通事故等による多発外傷・四肢切断など多くの重症患者さんの治療を行っております。

  平成29年度 平成30年度 令和元年度 令和2年度 令和3年度
総受診患者数 27,991 27,510 28,379 20,208 21,575
入院患者実数 5,118 5,009 5,375 4,647 4,451
うち救命病棟入院 2,467 2,205 2,283 2,112 2,193
救急車搬送台数 7,800 7,350 7,610 7,194 7,753
CPA総数 238 229 245 270 315
蘇生後入院 63 69 51 50 44
外来死亡 175 160 194 220 271
不応需/不応需率 598(7.1%) 596(7.5%) 506(6.2%) 927(11.5%) 1,598(17.2%)

 令和3年度はコロナ陽性患者を含む発熱患者の救急要請が増えたため診察室が満床で使えない状態になり感染防御対策上対応できませんでした。このため軽症患者は応需できず不応需がふえました。また救急科は、新型コロナ感染症の重症及び中等症症例を救命救急センターで対応継続しております。このため、入院病床が逼迫している場合、重症から中等症患者対応を優先し軽症患者の転院依頼を制限することがありました。しかし、Withコロナ時代の到来と据え、救命救急センターだけでなく一般病床への入院もスムーズに行えるよう病院一丸となって取り組みをしておりますので、関連の病院や医院先生方のご紹介などのご期待に添えるように体制を整備し不応需減少に努めてまいります。

教 育

 当センターは治療を行うだけでなく、研修医の臨床研修や医学生、救急救命士の病院実習など教育にも力を注いでおり、毎年多数の病院実習生が研修されています。

救命センター所長挨拶

 平成27年4月より京都第二赤十字病院救命救急センターの所長を拝命いたしました飯塚亮二です。その責任の重さに身の引き締まる思いですが、前所長の北村誠先生をはじめ、偉大な諸先輩方の築かれたセンターをさらに発展さすべく、微力ながら全力で、精励いたす所存です。
 当センターは、昭和53年に京都で最初に開設された救命救急センターであり、全国的にみても古い歴史を有しています。開設後は地域住民はもとより、京都府下において信頼の深い救急医療を提供してきました。また、平成16年8月には新棟へ移転し、機能的にも大幅に改善いたしました。
 当センターの役割は救急患者に初期治療を施し、高度な集中治療を通して急性期を離脱することにあります。つまり自己完結型診療機能を維持しつつ、各科との連携を深め、高度専門医療と救急医療の融合した診療体制を築いてきております。
 当救急科は30歳前後の医師たちをメインに17名の救急医が働いています。なかには多発外傷の手術ができる医師、血管内治療ができる医師もおり、全国的にみても大きな特徴といえます。私たちはいかに質の高い治療を行って救命率を上げるかを最優先に考え、日々、重症患者さんだけではなく、さまざまな病気やけがで訪れる患者さんの治療にあたっています。 
 また日ごろから積極的に勉強会に参加するなどして、教育に力を注いでおり、米国外科学会のATOM(外傷外科トレーニングコース)に定期的に参加し、重症外傷においてはダメージコントロール手術を選択し救命率の向上を図っています。その他塞栓術などを併用する血管内治療が救急科内にて完結できるのが当院の特色の一つです。
 救命救急センターの空床確保のためにも急性期治療の後には周辺の病院に転医をお願いすることもあります。ご理解の上ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 京都第二赤十字病院救命救急センターの運営には、多大な御尽力を地域の医療機関・消防・行政の皆様をはじめ、地域の方々からいただいてきました。重ねて感謝申し上げます。患者さんの立場に立った質の高い救急医療を実践していくとともに、社会からのニーズに応じた救急医療が受けられるよう、我々は日々救命救急医療に邁進しております。
 今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

京都第二赤十字病院 救命救急センター 所長 飯塚亮二