緩和的放射線治療について
緩和的放射線治療(緩和照射)は、がんの進行に伴って生じるさまざまな症状を和らげ、日常生活をより過ごしやすくすることを目的とした放射線治療です。
がんを完全に治すことだけを目的とする治療ではありませんが、症状の改善や悪化の防止に高い効果が期待できる治療法です。
どのような症状に有効なのか
痛み
主に骨にがんが転移することで生じる痛みによるものが多いです。その他腫瘍そのものにより痛みが生じている場合にも有効です。また、がんが神経を圧迫したり、がんが筋肉に広がって生じたりする痛みに対するものや肝細胞癌や多発肝転移による腹痛に対しても有効です。

しびれや麻痺
神経に近い脊椎骨への転移や脳への転移などに起因する神経症状の緩和に有効です。例えば、脊椎への転移が増大し、脊髄を圧迫してしまうと両下肢麻痺といった症状が出ます。完全な麻痺状態になってしまうと、治療をしても元に戻らなくなってしまいます。

出血
食道・胃・大腸がんによる消化管出血、子宮がんによる性器出血、肺がんによる血痰・喀血、尿管・膀胱がんによる血尿などにも放射線治療による止血が可能です。
狭窄症状
肺がんや転移性病変による気道狭窄(息苦しさ)、嚥下困難・閉塞症状(飲み込むときのつかえ感など)、食道・胃・大腸がんによる腸閉塞などに対しても有効な場合があります。

その他
上記以外にも患者さんが不快と感じられている症状や整容面で気になられている症状など。(診察の上で相談が可能)
これらの症状は、放射線治療によって比較的短期間で改善がみられることも多く、鎮痛薬などの薬物療法と併用することで、より効果的な症状緩和が期待できます。
治療の特徴
- 根治治療に比べ照射線量は少ないので副作用も少ないです。
- 患者さんの状態や負担を考え、放射線量や回数を決めます。
- とくに痛み止めの治療は1回の照射で効果が見込まれます。
- 緊急で1回の照射を即日で行うこともあります。
- 期間が空けば再度照射することも可能な場合が多いです。

治療の流れ
照射前
- 基本的には、通常の放射線治療と同じ流れとなります。
- 照射する部位に応じて、体を安定させる固定具を作成します。
- 固定具を作成後、治療計画用のCT画像を撮影します。
- 撮影したCT画像を用いて放射線治療の計画(照射する範囲やビーム方向の設定、線量の計算など)を作成します。
照射当日
- 照射時間は、治療室に入ってから出るまで10分~15分ほどかかります。
- 痛みが強い方にはなるべく早く終わるよう心掛けております。
- 照射期間は1日から2週間ほどです。
- 緩和的放射線治療の効果が出るまでには、早い場合でも1週間ぐらいはかかります。
- 患者さんによっては2~3週間かかる方もおられます。

照射線量は低く抑えられているため、強い有害事象(副作用)は出ないことがほとんどです。
副作用をできるだけ予防・軽減するために放射線を当てる部位によっては食事内容や皮膚ケアなど、日常生活を送るうえでいくつか注意をしていただく必要がありますが、基本的には普段通りの生活をしていただければと思います。