診療科・部門・センター
形成外科

科の紹介

形成外科では、身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して治療を行い、生活の質(Quality of Life)の改善を目指した診療を行っています。治療の中心は手術ですが、内服治療、器具による矯正、医療用レーザーなどの非手術的治療も行います。

日本の医療全体を見ると、形成外科は比較的新しい診療科です。当院形成外科は昭和52年に開設され、長年にわたり地域の患者さんの診療に取り組んできました。

今後も新しい技術を取り入れながら、地域の中核的な急性期病院としての役割を果たしてまいります。

専⾨医制度と連携したデータベース事業について

2017年4月からNCD登録事業に参加しています。

主な対象疾患

形成外科が対象とする疾患は、新鮮外傷、新鮮熱傷、顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷、唇裂・口蓋裂、手・足の先天異常、外傷、その他の先天異常、母斑、血管腫、良性腫瘍、悪性腫瘍およびそれに関連する再建、瘢痕、瘢痕拘縮、肥厚性瘢痕、ケロイド、褥瘡、難治性潰瘍、その他(眼瞼下垂症、顔面神経麻痺、リンパ浮腫など)などです。専門とする臓器が決まっておらず対象疾患が多岐にわたりますが、大まかに言えば、見た目が問題になる部位の治療、治りにくい傷の治療、傷あとの治療を形成外科で行います。具体的に当院で行っているのは以下のような内容です。

顔面、頭部、手足の外傷、熱傷(切り傷、すり傷、やけど)

皮膚に生じたさまざまな傷に対して診療を行っています。他院で縫合を受けたあとの処置も承ります。出血が止まらない、広範囲の熱傷など、緊急処置が必要な場合は、救急外来を受診してください。

手指の外傷のうち骨折・腱損傷などは、当院では整形外科が扱っています。切断指および皮膚軟部組織欠損や血管損傷を伴う重症四肢外傷については、当科と整形外科で協力して行います。

顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷

頬骨骨折、眼窩底骨折など中顔面の骨折を多く扱っています。咬み合わせが関係しない骨折については、吸収性プレートを用いた固定術を行います。下顎骨骨折など、咬み合わせが関係する骨折については、チタンプレートを用いた固定を行います。

顔面・手足・その他の先天異常

副耳、耳瘻孔などの耳の異常や、その他の先天的な体表の異常について、手術治療を行います。埋没耳などに対する耳の装具治療も行っています。手足の奇形(合指症、多指症、絞扼輪などの指の数や形の異常)や臍ヘルニアなどの臍の変形に対する治療も行っております。口唇口蓋裂については京都府立医科大学と連携しながら、治療に関する相談を受け付けています。

母斑(あざ)、血管腫、良性腫瘍(ほくろ、いぼ、粉瘤)

様々な皮膚腫瘍・皮下腫瘍に対して摘出術を行っております。大きな腫瘍を切除した場合などに生じる組織欠損に対しては、傷跡の状態に配慮し、皮弁法や植皮などによる再建を行います。手術での切除が中心ですが、レーザーでの治療をお勧めすることもあります。レーザー治療の対象となる疾患(血管腫、太田母斑など)については、診断の後、治療可能な機関へご紹介します。なお、当院では美容目的の治療は行っていませんのでご了承ください。

悪性腫瘍およびそれに関連する再建

皮膚がんの切除と、それによって生じる傷を閉じるための手術(皮弁術、植皮術など)を行います。詳しくは各種手術の詳細をご覧ください。皮膚がん以外にも、乳がん切除後の乳房再建や、頭頚部がん切除後の再建、骨・軟部腫瘍切除後の四肢再建も行います。これらの再建外科手術では、マイクロサージャリー(顕微鏡下での微小血管・神経縫合)を用いた遊離組織移植を行います。乳房再建ではシリコンインプラントを用いる方法、自家組織(腹部穿通枝皮弁・広背筋皮弁など)を用いる方法など、ご本人の希望に合わせた治療が可能です。

瘢痕拘縮・ケロイド・肥厚性瘢痕

「傷あと」に関するさまざまな問題について診療を行っています。拘縮(引きつれ)が生じて機能的に問題がある場合は当然のこと、傷をなるべくきれいに治すための処置・アドバイスも行っています。体質によって生じる肥厚性瘢痕・ケロイドといった傷あとのトラブルに対して、外用剤・内服薬・注射薬・手術・放射線治療などを組み合わせた集学的治療を行います。(詳細はケロイド治療をご参照ください。)

難治性潰瘍・褥瘡・足潰瘍

「床ずれ」を中心とした、治りにくい傷に対して、手術治療や生活上のアドバイスをします。高齢の方については、入院・手術を含んだ積極的治療がご本人の意向や身体的状況に沿わない場合があります。状況に応じて、無理のない治療をご提案します。他院・他科の手術後で傷がなかなか治癒しない場合も、当科で治療を行います(紹介が必要です)。
動脈硬化や糖尿病によって生じる足の傷については、循環器内科・糖尿病内科・心臓血管外科・専門看護師と共同して、術後のQOL(生活の質)を重視した治療を行います。その他の血流障害やリンパ流の障害で生じる潰瘍を含め、フットケア専門外来を開設し診療にあたっています。

その他の疾患:眼瞼下垂、爪の変形(陥入爪、巻き爪、外傷後の変形)、腋臭症など

眼瞼下垂

加齢性眼瞼下垂、先天性眼瞼下垂について手術治療を行っています。症状に応じて余った皮膚の切除、挙筋(まぶたをあげる筋肉)の短縮、筋膜の移植によって治療を行います。

リンパ浮腫

外科手術などの後に生じたむくみ(リンパ浮腫)に対して治療を行っています。むくみの状態に応じて、圧迫療法やスキンケアなどの保存療法や、リンパ管静脈吻合術による手術療法を行っています。


上記のように、当科が扱う症例分野は多岐に渡ります。各疾患については、日本形成外科学会のホームページ にも詳しく書かれていますので、ご参照ください。なお、当院では美容外科診療は行っていませんので、ご了承ください。

形成外科での手術治療の流れ

受診の前に

まずは形成外科の外来を受診し、治療について相談してください。当院を紹介なしの初診で受診されますと、選定療養費(7,700円・税込)がかかりますので、まずはお近くの診療所や病院から当院への紹介を受けてください。他にかかりつけの病院・診療所がある方は、お薬手帳もご持参ください。他院で手術を受けられた後に残った傷痕などについて相談いただく際も、できるだけ紹介状をお持ちください。

受診

受診されたら、問診とともに必要な検査を行って、手術治療が適するかどうかをお話しします。手術には傷ができるなどのデメリットもあるため、期待される結果とのバランスを考えて、治療方法をご提案します。目立つ傷跡(ケロイド・肥厚性瘢痕)の治療には、手術ではなく外用薬(テープや軟膏)の方が適する場合があります。手術を希望される場合は、手術予定の空きや患者さんのご都合を考慮して治療計画を立てます。もちろん、すぐの手術をご希望でなく、相談だけという方でも受診いただいてかまいません。手術日が決まったら、採血などの術前検査を受けていただきます。

手術

形成外科手術の多くは日帰りで行う局所麻酔手術です。来院されたら、着替えなどの準備を済ませた後、手術室に入っていただきます。手術する部位を確認し、清潔なシーツをかけた後、手術する部位に麻酔薬を注射します。痛みが取れるまで数分待ってから手術を開始します。手術終了後は、傷にやや厚めにガーゼを当て、帰宅していただきます。手術当日は、ガーゼはそのままにして、傷は濡らさないようにしてもらいます。切除範囲が大きくなる・深くなるなどの理由で全身麻酔が必要な場合、また、治療上安静が必要な場合など、入院して治療を行うこともあります。入院は最短で2泊3日ですが、治療内容によって大きく変わってきますので、受診時に個別にお話ししています。

手術翌日診察

手術翌日の診察で、血がきちんと止まっているか、傷の中に血が貯まっていないかを確認します。問題がなければ、自宅での処置について説明します。単純な縫い傷の場合、手術翌日の夕方から、シャワー浴や洗顔程度であれば傷を濡らしても大丈夫になります。

術後1週間診察(抜糸)

術後1週間診察で治癒していれば、縫った糸を抜糸します。頭部や手足の場合は抜糸までに術後2週間かかります。術後1~2か月の間に傷跡はいったん赤く固くなり、その後徐々に赤みが引いて柔らかくなって目立ちにくくなっていきます。抜糸後3か月程度は、傷がきれいになじむようにテーピングすることをおすすめしています。

アフターフォロー

傷跡に問題が無いか、手術後1か月・3か月・6か月の時点で経過をみせていただきます。アフターフォローが必要な理由は、体質や傷の部位によって、傷跡の赤みや固さがいつまでも引かず、逆に盛り上がってくることがあるからです(ケロイド・肥厚性瘢痕)。そのような場合は、テープや軟膏での治療を行います。

各種手術の詳細

Q&A

新鮮外傷・熱傷(ケガ、やけど)

傷の縫合処置を受けました。傷跡は残りますか?

残念ながら残ります。でも、目立たなくする方法があります。
縫合するような深さの傷(真皮よりも深くに達する)の場合、残念ながら傷あと(瘢痕)が残ります。テーピングや紫外線予防などのアフターケアによってかなり目立たなくなる場合もあります。気になる方は一度相談にいらしてください。

浅いすり傷ぐらいなら傷あとは残りませんよね?

傷あとは残らないことが多いですが、皮膚の色が変わって気になってしまう場合があります。
すり傷のような浅い傷(真皮に留まる)の場合、傷跡(瘢痕)は残らないのが通常です。ただし、茶色く色がついたり(炎症性色素沈着)、逆に色素が抜けて白くなったりして、目立ってしまうことがあります。紫外線予防などのアフターケアが大切です。

ケガをしました。血が止まらないのですが、縫わないとダメですか?

診察して判断します。診察時間外は救急外来を受診してください。
浅い傷であれば、通常はいつまでもダラダラ血が流れるということはありません(血が止まりにくくなる薬を飲んでいる場合は除く)。血がなかなか止まらない、パックリ傷が開いている、という場合は縫合処置が必要になる可能性が高いです。夜間や休日など一般外来が閉じている場合は、救急外来で縫合処置を受けてください。

ケガをしましたが、形成外科医に縫ってもらいたいです。

縫合は救急処置ですので、対応可能な医師の処置を受けてください。
当院は救急病院ですが、手術や病棟での処置もありますので、各診療科の医師が外来で対応できる診察日・時間帯も限られています。その時間内に受診された場合は当科で対応しますが、手術や院外出張などの都合で対応できないこともあります。縫合処置はあまり遅らせると感染の可能性もありますので、速やかに対応可能な医師の処置を受けてください。他科で処置を受けた後でも、傷跡について気になる場合は当科にご相談ください。

やけど(熱傷)をしました。傷跡は残りますか?

熱傷の深さによります。傷跡はできなくても、色が変わって目立つことがあります。
一般に、水ぶくれになった熱傷(2度熱傷)のうち、浅いもの(浅達性2度熱傷)は傷跡が残らないと言われています。確かにひきつれを起こすような傷跡にはならないのですが、皮膚に茶色く色がついてしまったり(色素沈着)、色が抜けて白くなったりすることがあります。治癒後のアフターケアが大切です。

湯タンポを使って寝ていたのですが、朝、気がつくと熱傷になっていました。

低温熱傷です。受診してください。
すぐに熱さを感じるほどの高温でなくても、長時間当たっていると熱傷ができます。これを低温熱傷といいます。湯タンポ・ストーブに当たりながら寝てしまい受傷される方が多いです。低温熱傷は深部まで達していることが多く、手術治療を要することがあります。低温だからと軽く見て放置し、感染を起こして痛む・膿が出るという状態になってから受診される方が後を絶ちません。感染を起こすと治るまでに時間がかかったり、傷跡が目立ったりしますので、そうなる前に受診し、治療を開始してください。特に、糖尿病をお持ちの方は、痛みを感じにくく知らず知らずのうちに低温熱傷を起こしたり、感染していることに気づかなかったりして、重症化してしまうことがあります。湯タンポの使用を避けるなどして、熱傷を起こさないようにご注意ください。

手術

乳房再建は受けられますか?

当院で受けられます。
乳房再建の方法は、乳がんの切除範囲によって方法が異なります。これから乳がん切除を予定している方は、まずは担当される乳腺外科の先生と再建術が適するかどうかをご相談ください。
乳がん切除手術がすでに終わっている方については、治療の段階に応じて再建術の時期をご提案します。主治医の先生と相談の上で当科を紹介受診していただくようお願いします。

眼瞼下垂の治療は眼科?形成外科?

当院ではどちらでも対応可能です。
瞼の手術は見た目の問題も大きいので、形成外科で行うことも多いです。一方、眼科の先生の中にも瞼の手術を得意としている方がおられます。当院の場合はどちらの科でも対応可能です。

腋臭症の手術はやってますか?

可能ですが、手術治療が適するかどうかは症状によって異なります。
腋臭症手術は保険診療の範囲で可能ですが、手術が適するかどうかは診察の上判断します。また、手術を行っても完全に臭いが無くなる訳ではありません。

レーザー治療はやってますか?

当院では、CO2レーザーによる皮膚腫瘍の治療を行っています。
治療用レーザーと一口に言っても、様々な種類があります。形成外科で用いるものとしては、腫瘍切除に用いるCO2レーザー、青あざ・茶あざの治療に用いるQスイッチレーザー、赤あざの治療に用いるダイレーザーなどが代表的です。当院ではCO2レーザーのよる治療が可能です。青あざ・赤あざについては、専用の機器を保有している近隣の医療機関にご紹介します。

治療に健康保険が効くかどうかはどうすれば分かりますか?

一度診察に来ていただくのが確実です。
基本的に、健康な身体に対して見た目を変えるだけのために行う美容手術や、その後の修正術は、保険適応にはなりません。しかしながら、ケガの傷あとの治療や乳がん切除後の乳房再建など、一見すると美容的な面を含む治療であっても、身体の機能に支障が出たり、病気が原因であったりする場合は、保険適応になることが多いです。まずは受診の上ご相談ください。なお、任意の民間医療保険で対象になるかどうかは、保険の契約内容によりますので、各保険会社にお問い合わせください。

スタッフ紹介

恋水 諄源
部長
卒業年
H19
専⾨領域
形成外科全般
マイクロサージャリー
再建(乳房・四肢)
創傷外科(外傷・熱傷・難治性潰瘍)
認定医・専⾨等資格
日本形成外科学会 形成外科専門医・領域指導医・皮膚腫瘍外科分野指導医
日本創傷外科学会 専門医・評議員
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 乳房再建用エキスパンダー/インプラント責任医師
日本臨床倫理学会 上級臨床倫理認定士
京都府立医科大学 臨床講師
大阪大学大学院医学系研究科 医の倫理と公共政策学 招へい教員
田中 大基
医師
卒業年
H31
専⾨領域
形成外科全般
リンパ浮腫
眼瞼の形成外科
廣瀬 愛
医師
卒業年
R3
専⾨領域
形成外科全般

外来診療担当医表

月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日
1診AM 担当医
(初診・救急後)
吉澤   担当医
(初診・救急後) 
2診AM恋水田中 担当医
(初診・救急後) 
江坂廣瀬
PM     

診療実績

NCD疾患別年間手術手技数

2020年2021年2022年2023年2024年
外傷215131115116154
先天異常82216815
腫瘍428487540395475
瘢痕・ケロイド4036403363
難治性潰瘍59734076132
炎症・変性疾患2229211723
美容00000
その他26169924
合計798794781654886

医療関係者の方へ

平素より大切な患者さんをご紹介いただき、誠にありがとうございます。当院は地域医療支援病院であり、地域の先生方から患者さんをご紹介いただくことで成り立っています。しかし、当科では初診専用外来を開設するに足る人員がなく、初診・再診の区別なく予約をお取りしているため、予約の取りにくい曜日・時期がございます。患者さんの病態に合わせてスムーズに紹介予約をお取りいただけますよう、以下の点につきましてご協力いただけますと幸いです。

急を要する病状の患者さんにつきましては、ご紹介の際にその旨お伝えください

受傷後間もない外傷・熱傷・骨折の患者さんにつきましては、円滑な手術計画のため、なるべく早くに当科を受診いただきたく存じます。当日すぐの受診は時間帯によって難しいこともございますが、その場合は翌日・翌々日の受診をご案内いたします。その他、止血困難・重症感染症などで緊急対応が必要な場合は、救急外来の受診をご案内することもございます。急を要する病状の患者さんにつきましては、ひとまず、紹介の際にその旨ご連絡をお願いいたします。

紹介状に逆紹介の基準を記載いただけますと幸いです

近年形成外科を標榜する医療機関は増加しつつあるものの、当科へ来られる患者さんの多くは皮膚科・外科の先生方からご紹介いただいております。ただ、当科での治療がひと段落した患者さんであっても、医療機関によって対応可能な範囲が異なるため、当院からの逆紹介に迷いが生じる場合がございます。特に、皮膚軟部組織感染症、難治性足潰瘍(フットケア)、褥瘡などの患者さんをご紹介いただく際、どの程度まで治療が進めば逆紹介の受け入れが可能か(例:皮膚膿瘍に対する切開処置後ガーゼ交換の可否、難治性足潰瘍に対する治癒後胼胝削り・爪切りなどフットケアの可否、褥瘡など完治の難しい皮膚潰瘍に対する継続処置の可否)を含めて紹介状に記載いただけますと、大変参考になります。逆紹介を増やし再診予約を減らすことで初診予約を取るためのゆとりができ、結果としてスムーズな紹介受け入れにつながります。先生方のご協力を何卒よろしくお願いいたします。

当科での実習・研修を希望される方へ

当科では、各大学のカリキュラムに則った医学生の病院実習(クリニカル・クラークシップ)を受け入れています。また、医学生・研修医の病院見学も随時受け付けています。病院実習・見学はメールにて受け付ます。ご希望の方は、氏名(ふりがな)、所属大学または勤務先、学年または卒業年、自宅住所、連絡先、実習・見学希望日(3候補以上)を記載の上、当院・教育研究課までお申し込みください。メールにて返信いたします。

E-mail(教育研修課): kyoik@kyoto2.jrc.or.jp