診療科・部門・センター
耳鼻咽喉科・気管食道外科

 内視鏡と外視鏡を活用した、体にやさしい耳鼻咽喉科手術 

科の紹介

当科では、最先端の医療機器を積極的に導入し、高齢の方にもやさしい、身体への負担軽減に配慮した手術を、耳・鼻・のど・嚥下など耳鼻咽喉科全般にわたって行っています。なかでも、拡張現実(AR)ナビゲーションを活用した「キーホールサージェリー(鍵穴手術)」による側頭骨手術は、関西エリアでも導入例の少ない先進的な取り組みです。その他、当科の強みや診療体制についてご紹介させていただきます。

患者さんへ

耳鼻咽喉科では、最新の手術技術を使用して、痛みが少なく、短期間の入院で効果の高い治療方法を行っております。耳、鼻、のど、嚥下の病気に関しては、経験を有する医師が診療および手術を行っております。まずはご相談ください。

診療内容・特徴

1. 内視鏡下耳科手術の豊富な経験と技術力

現在、耳科手術では痛みが少なく、真珠腫再発が少ないといわれる内視鏡手術が広がってきています。当科では国内導入当初(2012年)から導入しており、昨年施行した全105例の耳科手術のうち、約90%が内視鏡を用いて行っています。

全国各地で開催される内視鏡下耳科手術ハンズオンセミナーの講師として活動する内田部長が耳科手術を担当しており、関西地域においてはその指導的施設としての役割を担っていると考えています。

鼓室形成術はほぼ全例が内視鏡手術で完遂しており、耳の後ろを大きく切る必要はありません。真珠腫が大きい場合であっても、約2㎝の皮膚切開から拡張現実型(AR)ナビゲーションシステムを用いて安全に真珠腫摘出を行う方法、画像誘導経皮的内視鏡下耳科手術(IGPEES)(文献1)を開発、実用化しています。

図1:約2㎝の切開で手術が可能
図2:手術用モニターに示された真珠腫の拡張現実画像

(文献1)Masaya Uchida, et al. Efficacy of Image-Guided Percutaneous Endoscopic Ear Surgery: A Novel Augmented Reality-Assisted Minimally Invasive Surgery. Otology & neurotology 46(5): 532-538, 2025

当院は第4回国際耳科内視鏡学会(2022年)でのライブサージェリー担当病院に指定され、2日間で3症例、合計6時間にわたるリアルタイム映像を、当院手術室(図3)から『みやこめっせ』の大会場(図4)に配信しました。我々が担当した難手術症例(執刀医、内田部長)も鮮明な映像とともに大会場に放映され、世界に向けて日本の、そして当科の内視鏡手術の確かな技術力と最新のテクノロジーを発信することができました。

図3:当院手術室のライブサージェリー会場

図4:『みやこめっせ』内田部長によるライブサージェリー

2. 補聴器外来と、小切開で行う人工内耳植込術

近年、難聴が認知症のリスクとして最も関連が深い因子であるとの報告がなされ、日本でも難聴対策がクローズアップされています。当科では補聴器外来を開設し、補聴器を使いこなすための取り組みを行っております。補聴器での効果が乏しい方には、人工聴覚器(人工中耳・人工内耳)での聴力の再獲得に取り組んでいます。特に人工内耳手術は、約2~3㎝の皮膚切開で安全に、短期間の入院で可能な、拡張現実型(AR)ナビゲーションを用いた画像誘導内視鏡下人工内耳植込術を開発し、施行しています(図5)。

図5:拡張現実によるランドマークの提示(左)と、術後に適切に電極が挿入されている様子がCTで確認される(右)

3. 他院では困難な重症嚥下障害診療

さらに、高齢化の影響で増加する誤嚥性肺炎や重症嚥下障害患者に対し、嚥下サポートチームを立ち上げ、治療方針の決定から多彩な嚥下手術の選択と施行まで、専門性の高い治療を行っています。チームメンバーは耳鼻咽喉科医を中心に認定嚥下看護師、言語聴覚士、栄養士、薬剤師等の多職種で構成されていて、手術適応は多職種でのカンファレンスにて患者さん中心の選択となるよう配慮しています。とくに、重症誤嚥に悩む患者さんにおいて要望の高い、当科で開発した低侵襲な嚥下機能改善型声門下喉頭閉鎖術(図6)(文献2)や、声を残す誤嚥防止術は外視鏡を用いて精密に行います。できるだけ速やかに転院、手術を行えるように病床調整にも取り組んでいます。

図6:外視鏡による嚥下機能改善術

(文献2)内田真哉:嚥下障害を診る!-プロに学ぶ実践スキル≪治療≫声門閉鎖術.東京:医学書院,848-852,2019.

4. 最新の外視鏡を用いた顔面神経減荷術とシームレスなリハビリ外来

顔面神経麻痺は早期の診断と治療が重要です。当科では後遺症予防のための顔面神経リハビリテーション外来を設置し、日本顔面神経学会認定相談医による診察(2021年の時点で、京都府で唯一)と耳鼻咽喉科専門言語聴覚士によるリハビリを合わせて行います。適切な麻痺評価と指導にて、後遺症の少ない麻痺改善を目指します。

筋電図検査の結果で最重症(5%以下)と判定された患者さんは顔面神経減荷術の適応となります。この手術で効果を上げるには非常に繊細な手術手技が要求されますが、当科では豊富な経験に加えて、合併症が少なく、効果的なARナビゲーション支援下の内視鏡・外視鏡下顔面神経減荷術(図7)を施行しており、術後のリハビリテーションと組み合わせて麻痺改善の上乗せ効果を高めています。

図7:ARナビゲーション支援下の内視鏡・外視鏡下顔面神経減荷術

5. 鼻科内視鏡手術と鼻副鼻腔腫瘍手術における当科の取り組み

鼻内視鏡手術は多くの経験を持つ安田部長のもとで、手術が行われ(図8)、関西でも有数の手術件数を誇る領域となっています。さらに新しい副鼻腔炎治療として注目される分子標的薬による治療においても、開発段階から関与し、積極的に行っており、喘息を合併した副鼻腔炎治療の最終病院としての役割を担っていると考えています。さらに、鼻副鼻腔腫瘍に関しては、脳神経外科との共同による頭蓋底手術において、内視鏡手術を組み合わせ低侵襲な摘出術を行っています。

図8:安田部長によるナビゲーション併用鼻内視鏡手術

スタッフ紹介

内田 真哉
耳鼻咽喉科部長
卒業年
H2
専⾨領域
耳疾患
顔面神経麻痺
嚥下障害
頭頸部外科
認定医・専⾨等資格
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医・専門研修指導医
日本耳科学会 耳科手術暫定指導医
日本嚥下医学会 認定嚥下相談医
日本顔面神経学会 顔面神経麻痺相談医
日本臨床栄養代謝学会 認定医
安田 誠
気管食道外科部長
卒業年
H9
専⾨領域
鼻副鼻腔疾患
アレルギー疾患
認定医・専⾨等資格
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医・専門研修指導医
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 代議員
日本アレルギー学会 専門医・指導医
日本鼻科学会 鼻科手術指導医
日本鼻科学会 代議員
吉村 佳奈子
医師
卒業年
H25
専⾨領域
頭頸部外科
認定医・専⾨等資格
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
福島 巧貴
医師
卒業年
R3

外来診療担当医表

月曜日火曜日水曜日木曜日金曜日
新患吉村内田安田森岡
再来AM内田吉村
森岡
福島
(SAS)
森岡(1・3・5週)
吉村(2・4週)
福島
安田
PM 内田
(補聴器)
  内田・森岡
(顔面神経)

診療実績

手術名2020年2021年2022年2023年2024年
鼓室形成術・アブミ骨手術・人工内耳(側)5259595777
顔面神経減荷術1391189
喉頭閉鎖術・嚥下機能改善術98171516
内視鏡的鼻副鼻腔手術(側)145160161190248
甲状腺腫瘍手術3225242822
耳下腺・顎下腺手術1821162017

医療関係者の方へ

地域に密着した基幹病院として標準化された医療を提供することに加えて、新しい医療を開発、いち早く実用化しております。多くの経験に裏打ちされた医療技術をスタッフ間で共有し、専門性の高い特殊な疾患にも広く対応しております。どうか、お気軽に当院へご紹介、ご相談ください。