科の紹介
心臓血管外科は平成6年の開設以来、地域の皆様に支えられ、多くの外科治療を行ってきました。平成30年4月より新体制となり、常勤医師4名と京都府立医科大学心臓血管外科からの応援により診療にあたっています。循環器内科との綿密な連携により、心臓、血管疾患に対し総合的に診療いたします。外科治療が必要な場合には、患者さんが安心、納得して治療をうけていただけるように十分説明した上で、豊富な知識と経験をもって一人一人の患者さんに適した治療を提供いたします。また、緊急手術にも24時間、365日対応しています。
- 当科は心臓血管外科専門医認定機構 基幹施設です。
- 当科は京都府立医科大学 心臓血管外科学教室の関連施設です。
専⾨医制度と連携したデータベース事業について
当科はNCD登録事業に参加しています。
診療内容・特徴
- 低侵襲心臓手術
主な対象疾患
虚血性心疾患:心筋梗塞、狭心症など
心臓は心筋という筋肉を利用して体に血液を送る役割をしています。この心筋を動かすためには、自身が送り出した血液に含まれる酸素や栄養分などのエネルギーを利用しています。これらエネルギーを運ぶための血管が冠動脈です。心臓に頭から冠(かんむり)をかぶせたように配置されているためこのように呼ばれています。この冠動脈が動脈硬化などの理由で細くなる、詰まってしまうなど、心筋に十分なエネルギーを含む血液を供給できなくなってしまった状態のことを虚血性心疾患と呼び、これは狭心症や心筋梗塞という状態に大きく分けられます。
狭心症の状態と症状
冠動脈の径が細くなり血液の流れが悪くなった状態で、症状の程度は様々です。運動時に胸痛を感じる場合から早朝や夜間に、または運動もしていないときに症状が出ることがあります。また心窩部痛、歯や肩の痛みなど感じる痛みが胸痛以外に出ることもあります。
心筋梗塞の状態と症状
冠動脈が完全に詰まってしまった状態です。どの部位が詰まってしまうかによって状態も様々ですが詰まった部位の先には血流がなくなるため、エネルギーの供給を失った心筋は刻一刻と壊死を始め、非常に危険な状態となります。このままでは急性心不全・重篤な不整脈・心筋の破裂などの合併症を引き起こすため速やかな治療を行わなければなりません。激しい胸痛が長時間持続する症状が一般的ですが、中には症状を伴わない場合もあります。
検査
虚血性心疾患を疑って検査をする場合など時間的余裕がある場合には心臓CT検査で状態を判断する方法があります。石灰化などで判別が難しいことが予想される場合や、時間的余裕がない場合には冠動脈造影検査を行います。これはチームとして循環器内科の先生方に連携していただく検査となります。
治療
治療の方法は大きく分けて3つあります。薬物療法・経皮的冠動脈インターベンション・冠動脈バイパス術(CABG)です。循環器学会のガイドラインにより状態に合わせて最適な治療法が推奨されていますが、心臓血管外科で担当する分野は冠動脈バイパス術(CABG)です。冠動脈バイパス術とは、冠動脈の細くなった部分や詰まってしまった部分より下流の部位に別な血管(バイパスグラフト)を縫合することで新たな道を作り、不足している血流を改善させる方法です。バイパスグラフトの種類としては胸の内側にある内胸動脈や、腕の橈骨動脈、下肢の大伏在静脈や胃の周囲にある右胃大網動脈などを使用します。冠動脈バイパス術では人工心肺装置を使用して心臓を止めて行う手術方法(心停止下冠動脈バイパス術)と、心臓を動かしたまま行う手術方法(心拍動下冠動脈バイパス術)がありますが、どちらにもメリットとデメリットがあるため、術前検査や患者さんの状態に合わせ、どちらの方法がより患者さんに適しているかを総合判断で手術方法を決定します。
弁膜症
心臓は4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)を持っています。体から返ってくる血液は右心房から右心室へと流れ、肺を通った後に左心房から左心室へと流れ、再び全身に送り出されます。この血液の循環を保ち逆流を予防するためにそれぞれの部屋の出口に弁が存在します。右心房、右心室、左心房、左心室の出口の弁の名前はそれぞれ三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁といいます。これらの弁が様々な原因で動かなくなったり(狭窄症)、逆流を生じてしまったりした状態(閉鎖不全症)を心臓弁膜症と呼んでいます。
症状
急性疾患の特別な場合を除いて、心臓弁膜症が生じても大部分の場合は徐々に病態が進行し、その進行具合によって心臓や体が元の状態を保とうとしますので、すぐには症状として現れません。これを代償機構と呼び、この限界を超えた場合に明らかな症状としてあらわれます。これは心不全の症状と同じで、肺に水が溜まることによる咳や呼吸苦、全身に水が溜まることによる下肢のむくみなどがあります。しかしこのような状態の前にも、階段や坂の上り下りが辛くなったなどの気づきにくい症状もあり、明らかな症状が出たと時にはかなり病態が深刻になっている場合もあるので注意が必要です。早期に手術を行った場合、通常と変わらない生命予後が期待できるものであり、時期を逸しない時期の手術を強くお勧めしています。
検査
心臓超音波検査が必須となります。当院では最新式の心臓超音波検査機器をそろえ、専門医師と専門技師が日々検査にあたっておりますので、心臓の詳細な状態を検査することができます。
治療
心臓弁膜症の治療は大きく2つに分けられます。
- ご自身の弁を人工の弁に取り換える手術 : 弁置換術
- ご自身の弁を修復する手術 : 弁形成術
僧帽弁は僧帽弁閉鎖不全症の病態が多く、出来るだけご自身の弁を修復して利用する僧帽弁形成術を行うよう積極的に取り組んでいます。僧帽弁狭窄症は近年日本では減ってはいますが、この病態では人工弁への弁置換術を行っています。
大動脈弁は近年の高齢化社会に伴い、大動脈弁狭窄症が増加しており、この病態には人工弁への弁置換術を行っています。
また従来、大動脈弁閉鎖不全症にも弁置換術が行われており現在も主流ではありますが、ご自身の弁が形成に適しておられ、ワーファリン不要のメリットが大きいと判断される患者さんにおいては、ご自身の弁を利用した弁形成術も積極的に採用しております。近年この分野は大動脈弁分野での注目される手術となってきています。
ワーファリン(抗凝固薬)について
人工弁には大きく分けて生体弁と機械弁があります。生体弁には術後ワーファリンを使用する期間が2〜3か月と限定的であるというメリットがありますが、耐用年数が10年から15年というデメリットもあります。機械弁は耐用年数が永久であるというメリットの反面、生涯ワーファリンを内服しなければならないというデメリットがあります。
大動脈疾患:大動脈瘤、大動脈解離など
動脈瘤とは、大動脈がこぶの様にふくれる病気のことをいいます。 動脈瘤は、動脈壁(血管の壁)の弱くなっている部分に発生し、血流によって圧力を加えられると外側に向けてふくらみます。動脈瘤を治療しないで放置すると、破裂し死に至る危険性があります。どの場所にも出来る可能性があり、できた場所によって、胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、腹部大動脈瘤などといいます。
症状
大動脈瘤の大半は無症状で、何の症状もなく大きくなります。動脈瘤が大きくなり、周囲の組織が圧迫されるようになって初めて症状が現れますが、症状が出現する頃には動脈瘤はかなり大きくなっている事が多く、無症状のまま破裂や解離する事もあります。破裂する時になって初めて症状がでます。激烈な痛みがあり、動脈瘤の場所によって胸部痛、背部痛、腰痛などとなります。
検査
基本的にCT検査となります。
治療
基本的に人工血管置換術とステントグラフト治療(血管内治療)があります。 人工血管置換術は、動脈瘤を取り除いて、人工血管に置き換える手術となります。動脈瘤の場所によって、胸部大動脈人工血管置換術、胸腹部大動脈人工血管置換術、腹部大動脈人工血管置換術などとなります。人工血管置換術は開胸や開腹を伴い、患者さんの負担は伴うものの、動脈瘤を取り除くので確実性が高いと言えます。
ステントグラフト治療は、動脈瘤はそのままの状態で、血管の内側から針金入りの人工血管で蓋をする治療です。鼠径部の小切開のみで行うことができ、低侵襲が特徴です。ただ動脈瘤はそのままの状態であり、再治療を要することが約5%あります。年齢や状態、どんな病気をお持ちかによって、患者さん一人一人に最適な治療を選択しております。
閉塞性動脈硬化症
動脈硬化とは血管の壁が肥厚し、内腔が徐々に狭くなって(狭窄)、最後にはつまってしまう(閉塞)病態です。
症状
血流が悪くなることにより種々の症状が起こります。通常、足が冷たく感じる・しびれを感じるくらいからはじまり、だんだん歩くと足が痛くなったり、あるいは安静にしているときでも痛みを生じるようになってきます。そうなると足の趾やかかとなどが黒く壊死したり、潰瘍ができるといった症状があります。恐ろしいのは、糖尿病などの基礎疾患があると、症状がなくとも動脈の狭窄は徐々に進行することがあることです。足に壊死や潰瘍があると、細菌感染を併発しやすく、ひとたび感染が起こると、血流が悪くなり、より中枢側での切断が必要となったり、体に感染が波及して、全身状態が悪くなる(敗血症)ことがあります。
治療
当院では循環器内科、心臓血管外科のチーム医療で重症虚血肢の治療にあたり、良好な成績をおさめています。膝下の小口径動脈へのバイパスや、経カテーテル的な狭窄拡張術を組み合わせたハイブリッド治療も積極的におこなっています。
下肢静脈瘤
下肢静脈瘤とは足の血管がふくれてこぶの様になる病気です。足の静脈の役割は、心臓から足に送られ使い終わった汚れた血液を心臓に戻すことです。重力に逆らって足から心臓に血液を送らないといけないので、静脈の中には弁があり、立っている時に血液が足の方に戻ってしまう(逆流)のを防いでいます。下肢静脈瘤は、この静脈の弁が壊れることによっておこる静脈独特の病気です。弁が壊れる原因には遺伝や妊娠・出産、長時間の立ち仕事などがあります。
症状
下肢静脈瘤のおもな症状はふくらはぎのだるさや痛み、足のむくみなどです。これらは1日中おこるのではなく、長時間立っていた後や、昼から夕方にかけておこります。夜、寝ているときにおこる“こむら返り(足のつり)”も下肢静脈瘤の症状です。また、皮膚の循環が悪くなるため、湿疹や色素沈着などの皮膚炎をおこす事があります。皮膚炎が悪化すると潰瘍ができたり、出血することがあります。
治療
下肢静脈瘤の治療法には弾性ストッキングを使う圧迫療法や手術療法があります。手術には、静脈を引き抜くストリッピング手術と、高周波で静脈を焼く血管内焼灼術の2つがあります。以前から行われているストリッピング手術は、太ももの悪くなった静脈を手術で取り除きますが、高周波治療は中から静脈をふさいで血を流れなくしてしまいます。“低侵襲治療”と呼ばれる体に優しい治療です。従来のストリッピング手術では足のつけ根と膝の2ヶ所を切開しなければならないのに対し、高周波治療では膝の内側に細い針を刺すだけで治療することができます。また、太ももの血管を引き抜かず、その場所で焼いて塞いでしまうので、出血や手術の後の痛みが少なくなります。
スタッフ紹介
弁膜症
虚血性心疾患
低侵襲治療
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構 心臓血管外科専門医・修練指導者
関連10学会構成日本ステントグラフト実施基準管理委員会
腹部ステントグラフト実施医・指導医
胸部ステントグラフト実施医・指導医
日本心臓血管外科学会 国際会員
日本胸部外科学会 正会員
末梢血管疾患
外来診療担当医表
| 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 3診 | AM | 谷口(血管外来) | 藤原(静脈瘤) | |||
| 4診 | AM | 後藤(心臓外来) | 髙橋(血管外来) (1・3・5週) | 後藤(心臓外来) | ||
| PM | ||||||
診療実績
心臓血管外科手術症例
全症例

開心術

Wolf-Ohtsuka手術

医療関係者の方へ
患者さんのご紹介について
患者さんをご紹介いただく際は、お手数ですが紹介状のご協力をお願いします。